スターマー英首相とトランプ米大統領は16日、カナダで開催中の主要7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせ行った会談で、米英両国が 5 月に合意した貿易条件の実施に関して合意に達した。合意に基づき、英国の主要輸出品に対する米国の関税を引き下げ、特定の米国産農産物の英国への輸入枠を増やす。

両首脳は自動車、農産品、航空宇宙製品の貿易条件を緩和する措置を推進することで一致した。一方で、英国側が求めていた鉄鋼関税の即時引き下げは見送られた。

合意文書を持って話す英米首脳

トランプ氏は記者団に対し、「これで完了だ。われわれは貿易協定を手にした」と発言。スターマー氏も「今回の合意により、自動車関税や航空宇宙分野に関する重要な取り決めが実施される」と話した。

トランプ氏は、英国の民間航空機産業を10%の基本関税から免除する大統領令に署名した。米国の産業と深く結びついている同分野にとって重要な関税緩和措置となる。

また、英国からの自動車輸出については、年間10万台を上限に、今月中に米国は関税を従来の27.5%から10%に引き下げる。

鉄鋼に関しては、米国が一定の輸入枠内で英国に対し関税免除を認めることで合意したが、具体的な規模は未定。ホワイトハウス当局者によると、25%関税の対象とならない輸入枠の上限はラトニック米商務長官が決定する。

ホワイトハウスが発表した二国間貿易協定に関する声明によれば、米国は英国産のアルミニウム、鉄鋼および一部の派生製品について、最恵国待遇(MFN)税率での輸入枠を設ける方針。

英国はこれに対し、「鉄鋼とアルミニウムの供給網の安全保障に関する米国の要求に応えるよう努力する」と約束した。これには「関連製鉄所の所有形態」に関する対応も含まれており、英国で唯一残る高炉を運営するブリティッシュ・スチールの外国資本による所有を巡る米国の懸念を裏付けるものだ。英政府は同社の実質的な管理権を掌握しているが、法的所有者は依然として中国の敬業集団となっている。

合意が発効すれば、トランプ氏が世界各国への関税引き上げ方針を打ち出して以降、初めて正式に締結された貿易協定となる。トランプ政権にとっては、農産品分野での英国の譲歩を引き出したことで、関税政策が成果を上げていることを示すシグナルとなる。両首脳は、米英の農家それぞれに1万3000トンの牛肉輸出枠を相互に設けることで合意した。ただ、英国側は米国産牛肉の輸入について、自国の食品安全基準を満たす必要があるとしている。

スターマー氏にとって、他国に先駆けて主要産業をより積極的な関税措置から保護する協定を締結することは、トランプ氏を公然と批判しないという外交姿勢の妥当性を裏付けるものとなる。一方で、鉄鋼が今回の対象から外れたことは大きな打撃だ。英当局者によれば、先月の枠組み文書では関税をゼロに引き下げる計画が盛り込まれていたにもかかわらず、関税は依然として25%のままだという。

原題:、Starmer, Trump Agree to Implement Tariff-Cutting Trade Deal、US to Set Tariffs Reduction Quota for UK Steel, Aluminum、Trump Says He and UK’s Starmer Just Signed Trade Deal  (抜粋)

(自動車関税引き下げの時期など合意の詳細などを追加して更新します)

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