米連邦準備制度理事会(FRB)は、主要な米銀に対しプライベートクレジットへのエクスポージャーについて詳細な情報を求めている。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。プライベートクレジットファンドで解約請求が急増し、不良債権が増えていることを受けたものだ。

FRBによるこうした照会は、プライベートクレジット業界のストレスのレベルや、それが一段と広範な金融システムに波及する可能性を評価することが目的だと、関係者は匿名を条件に説明した。

FRBが通常の監督プロセスに組み込んでいる照会の中には、プライベートクレジットファンドが銀行から借り入れている負債の詳細を求める内容も含まれる。

好況時には、こうした負債がリターンを押し上げ、プライベートクレジットファンドの魅力を高める。一方、不況時には銀行が損失にさらされるリスクがある。

また、米財務省も別途、保険業界に対しプライベートクレジットへのエクスポージャーについて質問していると、事情に詳しい関係者が明らかにした。

FRBと財務省の担当者はいずれも現時点でコメントしていない。

一連の照会は、米規制当局がプライベートクレジットに関するストレスの規模把握を進めていることを示すこれまでで最も強いシグナルの一つだ。プライベートクレジットファンドは当初は機関投資家向けに販売されてきたが、現在は個人投資家にも広がり、規模は1兆8000億ドル(約287兆円)に膨らんでいる。

投資家資金を原資に融資を行い、銀行預金に依存しないプライベートクレジットは、かねて当局の監視対象となってきた。過去数カ月には個人投資家向けファンドへの圧力が高まり、投資家の資金引き揚げの動きが加速したことで、当局は監視を強化している。

規制の動き

国際的な規制当局の間では、プライベートクレジットのリスクに警鐘を鳴らす声が強まっている。金融安定理事会(FSB)のベイリー議長は9日、イランでの戦争による市場への衝撃を受け、プライベートクレジットが一段のストレスに直面する可能性があると指摘した。米金融安定監視評議会(FSOC)も3月終盤、プライベートクレジット分野の最近の動向について協議したとしている。

米金融規制当局は現在、トランプ政権の下でウォール街の大手金融機関に対する規制緩和を進めている。この規制緩和には、銀行がプライベートクレジットファンドへの融資を拡大しやすくすることに加え、住宅ローンや中小企業向け融資などの分野でノンバンクと競争しやすくする狙いがある。

関係者の一部は、ボウマンFRB副議長(銀行監督担当)ら当局者が、こうした規制緩和と並行して、潜在的なリスク分野に関する業界への戦略的な照会を強化することで、バランスを取ろうとしていることを示していると指摘する。

ウォール街の銀行とプライベートクレジットファンドは密接に結び付いている。クレジットファンドは資産の保管・管理を銀行に依存し、信用枠の提供も銀行に頼っている。プライベートクレジットのポートフォリオが悪化すれば、銀行が融資の担保としている資産の価値が損なわれるリスクがある。

保険会社

FRBの照会に加え、財務省も保険会社のエクスポージャーを調べる取り組みを進めている。当局はこの対応のためのチームを編成したと、事情に詳しい関係者が明らかにした。

財務省は今月1日の声明で、米国で保険会社を直接監督する州当局と会合を開き、新たなリスクや業界の見通しについて協議する計画を示した。国際的な規制当局とも議論する見通しだとしている。

関係者によると、このレビューは今後数カ月間継続され、一部の金融機関は財務省と個別に会合を持つ可能性もある。

保険会社は過去10年でノンバンクの貸し手の拡大を後押しし、多額の資金に対する影響力を高めてきた。プライベートクレジットファンドはこうした資金を活用して企業向け融資を行い、複雑な投資スキームに組み入れている。

原題:Fed Seeks Details on US Banks’ Exposure to Private Credit Firms(抜粋)

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--取材協力:Alexandre Rajbhandari.

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