ウォール街の大手銀行は、アンソロピックの最新人工知能(AI)モデル「Mythos(ミトス)」のテストを開始している。トランプ政権当局者が脆弱(ぜいじゃく)性の検出で活用するよう促している。

事情に詳しい関係者によると、テストの参加者として公表されているのはJPモルガン・チェースのみだが、ほかの大手金融機関もすでに利用可能となっているか、今後数日中に利用できる見通しだ。

ゴールドマン・サックス・グループやシティグループ、バンク・オブ・アメリカ(BofA)、モルガン・スタンレーなどが、ミトスの社内テストを進めているという。各行はいずれもコメントを控えるか、現時点で回答していない。

関係者によると、ベッセント米財務長官とパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が招集したウォール街幹部との会合で、経営陣はミトスの機能を脆弱性の検出に活用すべきだと警告を受けた。非公開情報であることを理由に関係者は匿名を条件に語った。

政府当局者は金融機関に対する具体的な脅威には言及せず、むしろ各行に対し、自社システムに同モデルを適用して防御体制の強化を図るよう促したと関係者は語った。

財務省の担当者はコメント要請に応えていない。FRB報道官はコメントを控えた。

ブルームバーグは先に、ベッセント、パウエル両氏が今月7日、ワシントンの財務省本部に銀行幹部のグループを急きょ招集したと報じていた。ミトスや同様のモデルがもたらすリスクについて銀行側の認識を高める狙いがあった。

トランプ政権の当局者によるこうした要請は、新たなタイプのサイバー攻撃が金融業界が直面する最大級のリスクの一つになりつつあるとの規制当局の懸念の高まりを浮き彫りにしている。

会合に招集された銀行はいずれも、主要な規制当局がシステム上重要な金融機関と分類しており、その安定性は世界の金融システムに優先課題とされる。

アンソロピックは、ミトスの最近の公開に先立ち、同モデルの「攻撃・防御のサイバー能力」について米当局と協議してきたと説明している。

同社はミトスの提供を当初、数十社に限定している。対象企業にはJPモルガン、アマゾン・ドット・コム、アップルなどが含まれ、「プロジェクト・グラスウィング」と呼ばれる枠組みの一部を構成する。類似のAIモデルが広く利用可能になる前に、最も重要なシステムの安全確保に取り組む。

ホワイトハウスのハセット国家経済会議(NEC)委員長はFOXニュースとのインタビューで、米当局が銀行に対しAI技術を活用したデジタル防御の強化を促す中、緊急性の認識が広がっていると述べた。

ウォール街の幹部らとの会合については、「ベッセント財務長官が取った対応は適切だった」と語った。さらに、「当局があらゆる点を解明するまで、アンソロピックがモデルの一般公開を控えることに同意するなど、これらの潜在的リスクから全ての人の安全を確保するため、われわれは取り得るあらゆる措置を講じている」と話した。

原題:Wall Street Banks Try Out Anthropic’s Mythos as US Urges (1)(抜粋)

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--取材協力:Katanga Johnson、Katherine Doherty、Hannah Levitt.

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