格付け会社フィッチ・レーティングスは、スイス南部の村をのみ込む土石流を引き起こした氷河の崩落について、気候変動が住宅ローンリスクの常識を変えつつある新たな証拠だと指摘した。

アルプス地域ではすでに産業革命前と比べ気温がセ氏約2度上昇しており、氷河の融解が危険なペースで進行中だ。産業革命前からの気温上昇は、地球温暖化がこのまま進めば、パリ協定が目指すセ氏1.5度の2倍に達すると予想され、洪水や地滑り、山林火災、暴風雨による物的損害のリスクが日々高まっていると科学者は警告する。

フィッチの高度分析ディレクター、ウィル・ロシター氏はインタビューで、「気象災害が今後ますます頻発し、より激しくなるだろう。ポートフォリオのより多くの資産への影響が増大しかねない」と分析した。

フィッチは、そうした状況を背景に気候変動に伴う物的リスクを信用評価に組み入れる作業を進めている。格付け会社や規制・監督当局の間では、気候変動が住宅ローン市場と証券化商品に与える影響が資産評価に十分反映されていないという懸念が広がる。

ロシター氏はスイスの被害について、気象災害がひとたび発生すれば壊滅的な影響を及ぼすと認識する教訓にすべきだと主張し、「それらの物件の価値は、一夜にして事実上ゼロになる」と語った。

気候変動の物理的な影響は、伝統的に世界で最も安全とされてきた債券市場の一角にも影響を及ぼしており、3兆4000億ドル(約493兆円)規模のカバードボンド市場もその一つだ。欧州連合(EU)の銀行監督機関である欧州銀行監督機構(EBA)は最近、発行体の銀行に対し、原資産の気候関連リスク、特にエネルギー消費に関するリスクを開示するよう求める規制案を公表した。

スコープ・レーティングスでカバードボンド副責任者を務めるマティアス・プライスナー氏は「あくまで出発点に過ぎないが、追加の開示により気候リスクの理解と特定が進み、発行体ごとのリスクをより適切に差別化できるようになる」と歓迎した。気候リスクの評価基準が確かなカバードボンドは、欧州中央銀行(ECB)が担保評価を行う際に優遇される可能性があるという。

原題:Fitch Warns of Rising Mortgage-Bond Risk Due to Extreme Weather(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.