主要7カ国(G7)首脳会議で、欧州諸国が米国に求めていることが一つあるとすれば、ウクライナのゼレンスキー大統領とトランプ米大統領の会談時間を確保し、ロシアによるウクライナ侵攻にトランプ氏の関心を再び向けさせることだ。

事情に詳しいG7の当局者によると、フランスのエビアンに今週集まった首脳らは、ウクライナの立場が強まっているとの見解で欧州と米国が一致しつつあると考えているという。

トランプ氏は長らく、ウクライナに切れるカードはなく、戦闘終結には領土を放棄するしかないとの揺るぎない信念を抱いていた。

しかし16日早朝、エビアンに到着したゼレンスキー氏とG7議長国フランスのマクロン大統領が、いかにトランプ氏との会談を実現するかについて協議している様子がカメラに捉えられた。

この直後、マクロン氏は首脳会議の合間を利用して、ゼレンスキー氏とトランプ氏を短時間引き合わせたと、G7関係者は説明。ゼレンスキー氏はトランプ氏に、ロシアの攻撃で損傷したキーウの大聖堂の写真を見せ、トランプ氏はその写真に心を動かされた様子を見せたという。

予定外

ゼレンスキー氏との会談は、トランプ氏の予定に当初は入っていなかった。だが、16日遅くに会談は設定された。

トランプ氏はカタール首長との会談で記者団に対し、「ロシアは合意すべきだと思う。つまり、この状況全体がばかげている。だから、私はできることは何でもするつもりだ」と述べた。

この発言の前に、トランプ氏は14日の80歳の誕生日にロシアのプーチン大統領と長時間に及ぶ電話会談を行っていた。それでも、発言の中にはこれまで繰り返していたゼレンスキー氏に譲歩を求めるような言い回しはなかった。

認識を共有

G7当局者の一人によると、ロシアは戦場で勝利できないという認識が、G7の間でいまや共有されている。

これは、2025年8月にアンカレジ行われた米露首脳会談後にトランプ氏が抱いていた見方からすると大きな変化だ。

プーチン氏による戦争の説明を信じるトランプ氏の見方を正そうと、欧州首脳は当時、相次ぎワシントンを訪問した。だが、それは容易ではなかった。

今年初めには、ロシアとウクライナの和平仲介にトランプ氏は関心を失いつつあるように見えた。同氏はホワイトハウス復帰に際して、ロシアのウクライナ侵攻を24時間以内に終わらせると公約していたにもかかわらずだ。

政治的遺産

だが、エビアンで様子は変わりつつあるように見えた。

マクロン氏にとって、議長国としてだけでなく、参加者としても最後のG7首脳会議となる。同氏の大統領任期は来年5月に終わる。ウクライナの将来を守ることは、同氏が残したい政治的遺産の一部だ。

トランプ氏はアラブ首長国連邦(UAE)首脳との会談で、イラン戦争が収束に向かう中、ロシアへの追加制裁にも前向きな姿勢を示した。

トランプ氏は「それは可能だろう。原油がいまや流れ始めているからだ」と述べ、「我々は制裁を解除したが、それは米国経済を妨げる意思がないからだが、間もなくそうした措置を取れる状況になる」と語った。

スターマー英首相も、首脳会議に際して行われたタイムズ・ラジオとのインタビューで、長期にわたる戦争で世界経済の動きが変わり、それが見方の変化につながったと指摘した。

「ロシア経済は大きな損害を受け、それがモスクワの雰囲気を変えた」と述べた。

G7当局者によると、マクロン氏はゼレンスキー氏に首脳会議終了までエビアンに滞在するよう招待した。これにより、ゼレンスキー氏は各国首脳との社交行事により多く参加でき、トランプ氏と接触する時間も増えることになる。

原題:Europeans Are Slowly Changing Trump’s Mind on Ukraine’s Grit (1)(抜粋)

--取材協力:Samy Adghirni、Brian Platt、Michael Nienaber、Ben Sills.

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