石破茂首相は名目国内総生産(GDP)を2040年に1000兆円とし、平均所得を現在から5割以上増加させるとの目標を参院選の「1番目の公約」に掲げるよう自民党幹部に指示した。消費減税を掲げる野党各党に対抗し、経済成長と賃上げを重視する姿勢を鮮明にさせた。

石破首相は9日、高い水準の賃上げが続く春闘を踏まえ、「この流れをさらに強力なものとし、物価上昇を上回る賃上げを実現する」と官邸で記者団に語った。今週末に予定する「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の閣議決定に先立ち、「強い経済の具体的イメージを国民と共有したい」と党幹部に公約内容を指示した理由を説明した。官邸で記者団に語った。

石破政権は先週公表した骨太の方針の原案で「減税より賃上げ」で国民の手取りを増やすと明記。高い成長を実現すれば40年ごろに「名目1000兆円程度の経済が視野に入る」とも記述した。参院選で野党各党は消費税の減税・廃止を公約に掲げる方針だ。首相発言は減税よりも経済成長と賃上げで国民生活の底上げを図る決意を示したものだが、足元の物価高に悩む世論の理解が広がるかは不透明だ。

国民民主党の玉木雄一郎代表は10日の記者会見で、同党も35年をめどに1000兆円程度の名目GDP達成を掲げており、石破首相が表明した目標自体には「賛成する」と語った。ただ、所得税の控除額をさらに引き上げなければ働き控えが発生すると指摘。年収に応じて最大160万円まで引き上げられた非課税枠を、一律で「178万円まで引き上げることは不可欠だ」と述べた。

名目GDP1000兆円の目標に対し、エコノミストからは人口減少が深刻化する中で達成は困難との見方も出ている。

みずほ証券の松尾勇佑シニアマーケットエコノミストは24年度の名目GDP成長率は3.7%と平均的なペースを上回って推移しているが、今後は物価上昇による押し上げ効果が剥落すると見込む。個人消費や設備投資による効果も小幅ながら期待できるが、人口減による経済縮小もあり、「名目ベースで1000兆円に達するほど、需要サイドの伸びが見込めるような状況にはなりづらい」と述べた。

「給付」も検討

参院選で与党内からは税収の振れ分を国民に還元する「給付」を検討する動きが出ている。公明党は参院選公約にマイナポイントなどによる「生活応援給付」を盛り込んだ。共同通信によると、自民の森山裕、公明の西田実仁両幹事長は10日会談し、物価高対策として給付を実施する方針で一致。自公の共通公約に反映させる方向だという。

NHKが6日から3日間実施した世論調査によると、石破内閣の支持率は39%で5月の前回調査より6ポイント上がった。随意契約による備蓄米の売り渡し推進を「大いに評価する」「ある程度評価する」が合わせて74%となった。消費税率は維持すべきだが41%、「税率を下げる」が37%、「廃止」が16%だった。

(野党幹部やエコノミストのコメントを追加し、更新しました)

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