米ベイン・キャピタルは、セブン&アイ・ホールディングス傘下のスーパー事業の買収や、これまでに日本国内で計50億ドル(約7200億円)以上の不動産資産を取得に続き、さらに不動産投資を強化するため複数の取引を計画している。

ベインのパートナーを務める木下満氏によると、日本企業が保有する不動産資産の価値を引き出す戦略に基づき、特別な状況に着目して投資する同社のスペシャル・シチュエーション・チームは現在約5件の案件で協議を進めているという。

世界の投資ファンドが割安な資産に注目する中、不動産は日本のプライベートエクイティ分野の主要な柱となりつつある。同氏は多くの日本企業が十分に活用できていない、あるいは本業の足かせとなっているような不動産を多数保有していると語る。てこ入れのための大規模な投資が不可欠なケースもあるという。

そのため、魅力的な不動産を保有する企業を買収するか、または企業が売却を検討している不動産部門を直接取得する方針だと述べた。資本と業務運営の両面で企業を支援し連携したい考えだ。同社は、日本ではプライベートエクイティと不動産投資を組み合わせたハイブリッドモデルを採用している。

木下氏は「不動産を切り離す目的で企業を買収するような略奪的な手法を取るつもりはない」と強調した。ゴールドマン・サックスで資産運用部門の日本責任者などを務めていた同氏は2023年にベインに入社した。

年初にベインが取り組んでいた富士ソフトへの買収提案の背景にあったのは同社保有の不動産資産だ。最終的にはベインと争奪戦を繰り広げたKKRが富士ソフトを獲得した。

ベインはまた、物流やデータセンター、ヘルスケア関連の施設などを事業基盤として抱える企業への出資に意欲を示している。

資金需要

資金面ではクレジットのほか、大規模なメザニンファイナンスや優先株といった形でのソリューション提供に関心を持つ。木下氏はこういった役割を果たせる投資家は日本ではまだ少数で、従来の金融機関では対応が難しい資金ニーズに応えることができると述べた。

木下氏は「不安定な現在の市場を考えると、この種の資本を必要とする企業はさらに増えるだろう。この分野は一度取引規模が大きくなると非常にユニークな領域になる」と話した。

ブルームバーグは4月に、アジア全域でPEとクレジット投資を進めるため、ベインが新たなPEファンドとスペシャル・シチュエーション・ファンド向けに数十億ドル規模の資金調達を目指していると報じていた。

同社は3月にセブン傘下のスーパーなど小売り事業を束ねたヨーク・ホールディングスの60%を約8100億円で取得することで合意。今後3年以内の新規株式公開(IPO)を目指しつつ、買収によりさらなる事業拡大を図る計画だ。

木下氏によるとイトーヨーカ堂のテナント構成の見直しや、ヨークベニマル店舗の拡張を検討しており、業務効率の改善と保有不動産管理の高度化の両面で事業を強化していると話した。

木下氏によると、日本のスペシャル・シチュエーション・チームは現在7人で構成されており、今後は投資と資産運用の両面に強みを持つ人材をさらに採用する予定だという。

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