(ブルームバーグ):5日の米国株は下落。トランプ米大統領とイーロン・マスク氏がソーシャルメディア上で非難の応酬を繰り広げたため、テスラが急落。他の大型テクノロジー銘柄も値下がりした。
主要株価指数はこの日の安値からは離れたものの、ナスダック100指数は1%近い下げとなった。テスラは14%安。トランプ氏はマスク氏との連邦政府の契約や補助金を打ち切る考えを示唆した。宇宙関連企業の株価は急伸。この日はトランプ氏と中国の習近平国家主席がさらなる貿易協議の実施で合意し、米中の緊張緩和につながるとの期待から、株価は一時上昇する場面もあった。
朝方発表された新規失業保険申請件数は予想外に増加。米経済のリセッション(景気後退)入りを防ぐため米連邦公開市場委員会(FOMC)が早期に利下げを再開せざるを得なくなるとの観測が強まった。
5月の非農業部門雇用者数は12万5000人増と予想されている。実際そうなった場合、過去3カ月の平均は16万2000人増と、依然堅調な伸びとなる。失業率は4.2%で変わらずとの予想だ。
プリンシパル・アセット・マネジメントのシーマ・シャー氏は「FOMCは狭い道を慎重に進んでいる」とし、「景気の減速をFOMCは想定している一方、貿易を巡る不確実性が続く中では金融政策の判断ミスが生じやすい状況にある」と述べた。
国債
米国債は下落。米失業保険申請件数の発表後に上昇したが、その後下げに転じた。午後に主要株価指標が下げたものの、国債は軟調な状態が続いた。
為替
外国為替市場ではブルームバーグのドル指数が小幅安。米失業保険申請件数や欧州中央銀行(ECB)会合を受けて年初来安値に下げる場面もあったが、トランプ米大統領と中国の習主席がさらなる貿易協議を実施することで合意したと報じられると下げ渋った。
ノムラの通貨ストラテジスト、宮入祐輔氏は、市場のコンセンサスはドルショートに傾いているため、ペイントレード(痛みを伴う取引)は依然としてドルロングだと指摘。よって、貿易関連や米マクロ経済データに関して明るいニュースが出ると、ドルは素早く買われると述べた。
円は対ドルで値下がり。トランプ氏と習氏の電話会談に関する報道に反応し、一時1ドル=143円97銭まで売られた。

ユーロは対ドルで上昇し、一時0.7%高の1ユーロ=1.1495ドル。ECBはこの日、今サイクルで8回目となる利下げを実施。ラガルド総裁は利下げ局面の終わりに差し掛かっているとの見解を示した。
原油・金
原油先物相場は反発。米中貿易戦争に緩和の兆しが見えたことが材料視された。
「米中首脳の電話会談は、関税交渉が進展する見込みを高めるため、リスク資産や原油にとって支援材料だ」と、CIBCプライベート・ウェルス・グループのレベッカ・バビン氏は指摘。「関税を巡る不透明感は原油相場にとって大きな重しとなっており、緊張状態が解消されないことで需要予測の下方修正をもたらしている」と語った。
トレーダーは、短期的な原油供給タイト化の可能性にも身構えている。カナダでは山火事の影響で1日あたり約35万バレルの原油生産が停止し、米オクラホマ州クッシングの備蓄拠点などへの供給が制限される可能性もある。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物7月限は、前日比52セント(0.8%)高い1バレル=63.37ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント8月限は48セント(0.7%)上昇し、65.34ドルで引けた。
金相場は反落。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物8月限は24.10ドル(0.7%)安の3375.10ドルで取引を終えた。
原題:Stocks Fall as Trump-Musk Fight Knocks Down Tesla: Markets Wrap(抜粋)
Treasuries End Cheaper After Erasing Gains, Following Euro-Zone
Dollar Pares Drop as US-China Call Eases Trade Risk: Inside G-10
Oil Rises as Traders See Trump-Xi Call as Sign of Easing Tension
もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.