中国の電気自動車(EV)バッテリーメーカー、寧徳時代新能源科技(CATL)は、先月停止した江西省のリチウム鉱山での操業を予想より早く再開する準備を進めている。これを受け、主要なリチウム生産企業の株価が急落した。

非公開情報として匿名で語った事情に詳しい関係者によると、CATL幹部は9日朝の会議で、江西省宜春にある梘下窩鉱区の操業を再開する準備を進め、現場作業員を呼び戻すよう指示したという。

CATLはコメントの要請にすぐに応じなかった。

梘下窩鉱区は8月9日に採掘許可が失効し操業が停止。市場心理に影響を与えていた。操業停止は中国政府による過剰供給対策や供給面での規律を強化する動きの一環との観測が広がったためだ。

バッテリー向けに精製された炭酸リチウムの価格は供給不安を背景にボラティリティーが高まっている。9日の操業再開報道を受けて、リチウム生産の主要企業の株価は下落。チリのソシエダード・キミカ・イ・ミネラ・デ・チリ(SQM)は8.8%安、米アルベマールは11%下げている。

ジェフリーズのアナリスト、シュハン・ジアン氏らは顧客向けのリポートで、「想定より早い梘下窩鉱区操業再開は短期的に市場の需給を再均衡させる流れを乱す可能性がある」と指摘。その上で、「中国のリチウム関連株がネガティブに反応しても驚かない」と述べた。

ブルームバーグは8月、CATLが採掘許可の延長に失敗し、梘下窩鉱区の操業が少なくとも3カ月間停止されると報道していた。

関係者によれば、会社側は操業の前倒しを見込んでいるものの、地元当局からの新たな許可はまだ出されていないという。

原題:CATL Readies China Lithium Mine Restart Earlier Than Thought (2)(抜粋)

--取材協力:James Attwood.

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