円形のチーズを6つに割った形のロングセラー商品、雪印メグミルクの『6Pチーズ』。その希望小売価格が7月から値上げされることになりました。今年2回目の値上げで、食料品値上げラッシュの象徴的な出来事です。『6Pチーズ』の価格から見えるインフレ加速の風景をみてみます。
食料品値上げ「第2の波」

『6Pチーズ』の希望小売価格は、今年3月に、それまでの437円から463円に、率にして5.9%引き上げられたばかりでした。雪印メグミルクは、28日、それを今年7月から476円に、率にしてさらに2.8%引き上げると発表しました。その理由として会社は、原料である乳価の引き上げや、包装資材、物流コスト、さらに人件費の上昇を挙げています。特に、酪農生産者の飼料やエネルギー価格の高騰を受け、原材料費である乳価を引き上げて生産基盤を守る考えを詳しく説明し、消費者の理解を求めていています。
ただ、3月の値上げも同様の理由で、人気のナショナルブランドを短期間で2回も値上げするのは異例と言えるでしょう。実は去年、2024年には『6P』の値上げはなく、前回の値上げは2023年の4月(385円→437円)でした。その前年の22年には2回も値上げされており、その意味では、2022年から23年にかけての値上げラッシュに次ぐ、第2の値上げラッシュが食料品の世界に押し寄せていることがうかがえます。
消費者物価3%以上上昇続く
5月の東京都区部の消費者物価(速報)は、生鮮食品を除く総合指数が前年同月比3.6%もの上昇率で、インフレ加速のほとんどはコメを含めた食料品で説明がつきます。
帝国データバンクによれば主要食品メーカーが6月に値上げ予定の飲食料品は1932品目にのぼり、値上げ点数は前年同月比の3倍です。円安の定着やコメ価格高騰を受けた、まさに値上げの第2の波です。