(ブルームバーグ):日本国債の利回り急騰は債券市場の希望の光でもあり、高い利回りがクレジット投資家を引きつけている。
キリンホールディングスやサントリーホールディングス、三井不動産、インドネシアなど少なくとも10の発行体が23日、主に償還期間が10年以下の社債やサムライ債を総額約5300億円起債し、今年で最も活発な起債日の一つとなった。
一連の起債は、日本国債、特に超長期債の利回りが今週急上昇し、投資家にとって魅力的な投資機会となったことが背景にある。4月に米国の関税問題で発行を延期または中止した発行体が戻ってきたケースもある。
大和証券デット・キャピタルマーケット第3部の大津大副部長は「日本の超長期金利の動向は世界中の注目を集めている」と指摘。「投資家にとっては期間が短くても利回りが得られ、発行体も長期で高い固定金利ではなく短い年限で低めのコストで資金を調達している」と話した。

4月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)の前年比上昇率が2023年1月以来の高水準となり、日本銀行の利上げ観測を後押ししている。このため、短期債利回りのさらなる上昇を見越して発行体は早めの資金調達に動いている。
InTouchキャピタル・マーケッツのシニア債券アナリスト、キット・ロー氏は「一部の日本企業は近い将来の日銀利上げを懸念している可能性がある」と述べ、「26日の米英の祝日を前に起債を急いでいる企業もある」と話した。
社債の起債ラッシュは、日本国債の利回りが急騰している中で起きている。30年債や40年債など超長期債の利回りは過去最高水準を更新、ベンチマークとなる10年債利回りも08年以来の高水準に迫る。
クレジット市場では発行案件のパイプラインが着実に積み上がっている。 富士フイルムホールディングスは23日、最大1000億円の3本立て社債の発行に向けて引受証券会社を指名した。
大和証の大津氏は「今の起債環境は続く」とみている。「多くの企業は償還を控えており資金調達ニーズがある。マーケットも落ち着きを取り戻し、投資家の投資意欲も強い」と話した。
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