(ブルームバーグ):ニューヨーク市の地下鉄は多くの問題を抱え、市民にとって頭痛の種となっている。追い打ちをかけているのが車両老朽化で、大規模遅延の増加を招いている。
ニューヨーク州のディナポリ会計監査官が10日公表した報告書によると、市の地下鉄車両の約4分の1は耐用年数の40年に達しているか、それを超えている。
報告書によれば、老朽化した車両は重大インシデントの原因として急速に増えてきている。少なくとも50本の列車が遅延した場合に重大インシデントとされるが、2025年前半にはそうした大規模な遅延を引き起こす車両故障が77件発生。前年同期の27件から3倍近くに増加した。
ディナポリ氏は報告書で、この問題は地下鉄車両を新型に更新する必要性を浮き彫りにしていると指摘。ニューヨーク州都市交通局(MTA)は車両の更新を進める意向だ。複数年の資本予算には、新型の地下鉄車両1500両と通勤鉄道車両500両超の調達に向け、約110億ドル(約1兆6200億円)が計上されている。
声明でディナポリ氏は「信号や車両など、遅延を悪化させる要因に的を絞って改善を進めることが、乗車体験の向上や利用者数の増加につながる」と指摘。また「警察や消防、ホームレス支援部門との連携により、遅延の原因となる事象を減らすことも可能だ」と付け加えた。
報告書によれば、25年前半に地下鉄で発生した重大インシデントは385件で、前年同期の368件から約5%増加した。
地下鉄の利用者はこの夏、度重なるサービス混乱に耐えてきた。1930年代の設備が残る信号システムが大幅な遅延を招いたほか、大雨による駅の浸水や停電も増えている。7月下旬には、西4丁目駅で電力障害が発生し、複数路線で深刻な遅延が発生した。
それでも、予定時刻から5分以内に到着した列車の割合を示す定時運行率は、7月時点の直近12カ月平均で82.8%となった。MTAのデータによれば、新型コロナウイルス禍前の2019年7月の同75.4%を上回る水準だ。
原題:New York City’s Transit Woes Worsen With Aging Subway Fleet(抜粋)
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