現在のシニア世代には、子どもの頃に自身が孫の立場で祖父母との暮らしを経験したり、大人になって以降、親や祖父母との同居生活を通じて、子育てや介護を経験した人もいるだろう。以前は結婚した子や孫と同居する高齢者が、現在より多かったからだ。

しかし、これから高齢期を迎える若いシニア世代には、自分の子どもが親となって孫の祖父母の立場になった際に、夫婦のみの世帯や単独世帯で暮らす人が多いだろう。三世代世帯のシニア世代は、時代とともに減少している。

このようなライフスタイルの変化もあって、シニア世代が、同居して幼い孫の世話を日常的に担うケースは少なくなっている。

実際、内閣府が60代以上の男女を対象に行った調査によると、シニア世代が家族・親族のなかで果たしている役割として「小さな子どもの世話をしている」を挙げるケースは1割に満たず、「家事を担っている」や「家計の支え手(かせぎ手)である」「家族・親族の相談相手になっている」など他の役割を挙げる人に比べかなり少ない。

ただし、孫と同居する世帯では「小さな子どもの世話をしている」の割合が全体に比べやや高く、2割弱となっている。また、調査時点ではすでに孫が成長していたため「小さな子どもの世話をしている」には現状では該当しない人が、過去に孫の世話を手伝っていたケースもあるだろう。

このようなケースを含めると、孫の世話をした経験があるシニア世代は、もう少し多い可能性があると考えられる。