(ブルームバーグ):パレスチナ人自治区ガザの全域をイスラエルは掌握すると、ネタニヤフ首相が19日述べた。同国軍はイスラム組織ハマスに対し、「前例のない攻撃」を実施すると発表した。
ネタニヤフ氏は、攻撃を強化するとともにガザへの支援を再び許可すると説明。イスラエルはハマスに人質解放と降伏を促すため、3月初めにガザへの支援を停止させていた。
イスラエルに対しては、ガザへの支援を再開させるよう国際的な圧力が高まっていた。国連はガザ住民の栄養不良が悪化していると指摘。フランスのマクロン大統領は、ネタニヤフ氏の支援阻止は「恥ずべき」振る舞いだと非難していた。

極右政党「宗教シオニズム」の党首で、過去に支援再開に反対していたスモトリッチ財務相は同日、再開を容認する以外に選択肢はなかったとし、「そうでなければ、世界がわれわれに戦争停止を強いるだろう」と語った。軍は現在、はるかに苛烈に作戦を展開しているとも述べた。
「今回は作戦の手法が完全に異なる。急襲ではなく占領だ。ハマスを破壊するまで、浄化と支配を続ける」と主張。「その過程で、ガザに残っている全てを破壊する。ガザにある全ては巨大なテロ都市だからだ」と続けた。
国連や国際支援団体の計画策定に利用される「総合的食料安全保障レベル分類(IPC)」によると、ガザの人口200万人のうち約160万人が、食料不安のレベルが深刻な飢餓の一歩手前である「緊急事態」にある。

イスラエルは重大な食料不足が生じている事実はないと主張している。だがネタニヤフ氏は、飢餓の発生を防ぐため支援容認が必要だったとし、イスラエルを支持する米上院議員からも支援を再開させるよう働きかけがあったと明らかにした。
支援再開の容認は同国内で広く支持されているわけではなく、とりわけ政府内の極右メンバーの反対は強い。反対派は食料や医薬品の供給をハマスが戦闘能力強化や資金源とすることを防ぐため、支援の遮断を続けるべきだと主張している。
ただ、支援再開はすぐには始まらない見通しだ。ネタニヤフ首相の国際問題担当顧問を務めるキャロライン・グリック氏が電話インタビューで語ったところによると、再開は今月25日ごろになる見通しで、それまでは暫定的な措置を導入する。
「飢餓や危機的な不足は生じていないが、それに近づきつつあり、危機的な水準に達することは望まない。そのため暫定措置を講じる」と述べ、「ガザで誰も飢えることがないよう確実にする。炊き出しを行う」と説明した。
原題:Netanyahu Says Israel to Take Over All Gaza, Start Aid Flows (3)(抜粋)
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