トランプ米大統領は9日、米食品医薬品局(FDA)などに対し、製薬会社の広告に全てのリスク開示を義務付けるよう求める覚書に署名した。

これまでより多くの副作用の開示を医薬品メーカーに義務付け、誤解を与えるような広告に関する既存の規則強化も促す。

大統領覚書は、テレビとソーシャルメディアプラットフォームの医薬品広告の規制強化を意味する。年間数十億ドルに上る広告支出に影響が及び、製薬会社とメディア企業の双方に打撃となる可能性が高い。

処方箋薬の患者・市民への直接広告を認めているのは、米国とニュージーランドだけだ。ケネディ厚生長官は、処方箋薬の広告規制を長年優先課題としてきたが、今回の規制強化は広告の全面禁止には踏み込んでいない。

広告データ会社メディアレーダーのリポートによると、製薬会社は2024年に消費者向け直接広告の費用として、総額108億ドル(約1兆5900億円)を費やした。アッヴィとファイザーの支出額が特に大きく、アッヴィは自己免疫疾患治療薬リンヴォックとスキリージなどに昨年20億ドルを投じた。

これらの医薬品は25年4-6月(第2四半期)にアッヴィに65億ドル余りをもたらした。同社のコメントを得ようと取材を試みたが、これまでのところ連絡が取れていない。ファイザーはコメントを控えた。

大統領覚書は「時間の経過とともにFDAの要件は、特に放送広告で製薬会社が掲載する情報量を減らすことを認めるようになった。その一方で、近年の製薬会社の広告は急増している」と指摘した。

原題:Trump Announces Crackdown on Drug Ads on TV, Social Media (1)(抜粋)

(製薬会社の広告費の支出額などを追加して更新します)

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.