「刑務所の国」との懸念

しかし、この計画に対しては懸念の声も上がっている。野党議員のマルセラ・ビジャトロ氏は、「エルサルバドルは刑務所の国というイメージが定着してしまわないか心配だ」と述べている。

さらに、「各国のギャングがテロリスト監禁センターに収容されればコミュニティが形成される可能性がある。将来、何らかの理由で刑務所から釈放された場合、エルサルバドルに足場ができてしまう」という具体的な懸念も示している。

注目集める“国民的英雄”

ブケレ大統領は、「ギャングとの戦い」に勝利した国民的英雄として圧倒的な権力を持っている。元々エルサルバドルの大統領は一期五年で再選が認められていなかったが、ブケレ大統領は最高裁判事を交代させて強引に憲法解釈を変更し、2024年に再選を果たした。

現在、エルサルバドルの議会は60議席中57議席をブケレ支持派が占めており、野党の声はほとんど意味を持たない状況だ。独裁的な傾向を持つ大統領と言われるブケレ氏が「やるんだ!」と言った政策は、ほぼすべてが実現するという。

エルサルバドルの“刑務所ビジネス”は、世界中の注目を集めている。トランプ政権との関係強化や不法移民対策としての効果が期待される一方で、受刑者の人権問題や将来的な治安への影響を懸念する声もある。

ブケレ大統領の独特な戦略が、エルサルバドルと世界にどのような影響を与えるのか。今後も目が離せない展開が続きそうだ。