中米の小国エルサルバドルが、世界を驚かせる異例の“ビジネス”を展開している。その中心にあるのは、「テロリスト監禁センター」と呼ばれる巨大刑務所だ。

“世界最恐”の刑務所で稼ぐ

エルサルバドルのナジブ・ブケレ大統領は今年3月、アメリカから追放されたベネズエラ人ら200人余りの不法移民を「テロリスト監禁センター」に収容した。この刑務所は2023年に運用が始まり、定員4万人という巨大な規模を誇る。

「受刑者の人権よりも安全を重視する」というのが、この刑務所の基本方針だ。実際に現場を取材したJNNニューヨーク支局の大橋記者は、その厳しい環境をこう説明する。

「受刑者はこの刑務所に入る際に全員丸刈りにされます。基本的に24時間、監房から出ることはありません。凶器となりうるようなものは使えません。食器はプラスチック、料理は手づかみです。枕や毛布も使えません。照明は24時間つけっぱなしで、トイレも監房内のオープンなスペースに設置されていて、プライバシーはほぼありません」

トランプ政権を巻き込んだ“刑務所ビジネス”

この厳しい環境の刑務所を、ブケレ大統領は“ビジネス”に活用しようとしている。エルサルバドルとトランプ政権は、「テロリスト監禁センター」にアメリカで拘束された約300人を600万ドル(約8億9000万円)で1年間受け入れることに合意した。

ブケレ大統領はSNSで、「アメリカにとっては非常に安い料金だが、我々にとっては高い額だ」と強調。手錠をされたギャングのメンバーが飛行機から降ろされ、テロリスト監禁センターに移送される映像も投稿した。