「一石二鳥」の戦略

この“刑務所ビジネス”は、ブケレ大統領にとって一石二鳥の戦略だ。

1つ目は、外国人の受刑者を受け入れて手数料を取り、それを刑務所の運営資金にあてて持続可能な施設にすること。実業家出身のブケレ大統領らしい、ビジネスマン的な発想だ。

2つ目は、トランプ政権との交渉カードにすること。不法移民対策に苦心するトランプ政権にとって、エルサルバドルの協力は大きな意味を持つ。トランプ大統領は「エルサルバドルは他国の模範だ!」と絶賛している。

世界の凶悪犯がエルサルバドルに集結?

この“刑務所ビジネス”は今後、さらに拡大する可能性がある。アメリカのウォール・ストリート・ジャーナルは、エルサルバドルには「巨大刑務所の収容人数を2倍にする計画がある」と報じている。

アメリカのノーム国土安全保障長官は、「強制送還者をアメリカに再送還する計画はない。これは長期的な解決策だ。ブケレ氏は収容能力を2倍にする計画がある。80エーカー(約32万平方メートル)を超える土地があり、そこで建設を続ける予定だ」と語ったということだ。