(ブルームバーグ):著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる米投資・保険会社バークシャー・ハサウェイは、トランプ米大統領による広範な関税措置の発表に先立つ1-3月(第1四半期)に相場下落の中でも大規模な株式購入は行わず、代わりに保有する金融株の売却に動いた。
15日の規制当局への届け出によると、バフェット氏は保有していたシティグループ株をすべて売却。キャピタル・ワン・ファイナンシャルと、長年保有していたバンク・オブ・アメリカ(BofA)の株式も縮小した。
バフェット氏(94)は、BofA株の削減を昨年7月に開始したが、その理由については明らかにしていない。第1四半期に4866万株を売却した結果、現在の保有比率は8.385%で、もはや筆頭株主ではないことがブルームバーグの集計データに示されている。
バークシャーに代わってBofAの筆頭株主となったのはバンガード・グループ。BofAの担当者はコメントを控えた。
バークシャーは2011年、当時厳しい状況にあったBofAを支援するため50億ドル(現在のレートで約7300億円)相当の優先株を取得。17年のワラント行使により、同行の普通株の最大保有者となっていた。
バークシャーはまた、ブラジルのデジタル銀行ヌーバンクの株式もすべて売却した。ヌーバンクは2013年の設立以来、世界最大級のデジタル銀行へと成長しており、21年の株式公開前にバークシャーは5億ドル分の株式を取得していた。同行の株価は上場以来46%上昇している。
近年のバフェット氏は、大型買収を控える一方で手元現金を積み上げており、3月末までに現金保有額は約3500億ドルに達した。同氏は今月開いた年次株主総会で、最近の相場下落について「大したことではない」と語り、自社株が短期間で半分に下落した過去の例に触れた。
同氏は総会で、同社が最近、100億ドル近くを投じる「寸前」に至った案件があったものの、最終的に見送ったと明かした。
バークシャーの株価は年初来で11%余り上昇。S&P500種株価指数は同期間に1%未満の値上がりにとどまっている。
バフェット氏は、アルコール飲料メーカーのコンステレーション・ブランズ株を買い増したほか、シリウスXMホールディングスとオキシデンタル・ペトロリアムの株式も追加取得している。
アップル株の保有比率には変化がなく、依然としてバフェット氏のポートフォリオの中で最も価値の高い資産となっている。
原題:Buffett’s Berkshire Sat Out Market Drop, Trimmed Bank Stocks (1)、Berkshire Ends Era as Top BofA Stockholder as Selling Continues(抜粋)
--取材協力:Erin Fuchs.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.