(ブルームバーグ):米ニューヨーク市から2022年までの5年間に、差し引き3万人の市民がフロリダ州マイアミ・デイド郡およびパームビーチ郡へ移住し、それに伴い合計92億ドル(約1兆3000億円)の所得が流出していた。市民予算委員会(CBC)の最新報告書で明らかになった。
非営利の行政監視団体であるCBCが4月30日公表した報告書によると、フロリダ州両郡への移住者は高所得層が多かった。パームビーチには2万人近く(1人当たり平均所得は約19万ドル)、マイアミ・デイドには約2万6000人(同26万6000ドル)が転入した。
報告書は新型コロナウイルスの影響のほか、物価や生活の質を巡る問題などがNYから他州への移住を促した要因と分析。CBCのアンドルー・レイン会長は発表前の記者会見で「都市の競争力は、生活の質と公共の安全に左右される」と説明し、「安心して生活を楽しめる場所に人は残る」と述べた。
ニューヨーク州内での転出も財政に影響を及ぼす。同じ5年間に同州ロングアイランドに移住したNY市民は差し引き13万8000人近くに上り、調整後所得ベースで111億ドルがNY市から流出。また、約6万人が同市の北に位置するウェストチェスター郡に移り、さらに50億ドルが失われた。
18年以降にニューヨーク市を離れたのは、ミレニアル世代および高所得層が中心だった。
一方、23年と24年は外国人の移住により、NY市の人口全体は増加に転じたとCBCは伝えた。
原題:NYC Lost $9 Billion of Income to Miami, Palm Beach in Five Years(抜粋)
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