3月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は、前年比の伸びが前月から拡大した。政府の補助金でエネルギーの上昇が抑制された一方、食料がけん引した。米関税措置で世界経済の不透明感が増す一方、物価は日本銀行の見通しに沿った動きが続いている。

総務省の18日の発表によると、コアCPIは前年同月比3.2%上昇した。 伸び率の拡大は2カ月ぶりで、3%台は4カ月連続。日本銀行の目標の2%を36カ月連続で上回った。

生鮮食品を除く食料は6.2%上昇と8カ月連続でプラス幅が拡大した。特にコメ類は92.1%上昇と比較可能な1971年1月以降で最大の上昇幅。伸び率は6カ月連続で過去最大を更新している。エネルギーは6.6%上昇と伸びが鈍化した。

生鮮食品とエネルギーを除いたコアコアCPIは2.9%上昇と伸びが加速。3カ月連続でプラス幅が拡大した。

トランプ米政権による関税政策を受けて世界・日本経済の先行き不確実性が高まっており、市場が想定する日銀の追加利上げのタイミングも後ずれしている。植田和男総裁は14日の国会答弁で、米関税措置は海外・日本経済の下押し要因となる一方、物価への影響は上下双方向のさまざまな要因が考えられるとしたが、足元までの物価動向は、日銀の政策正常化路線をサポートする内容といえる。

ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査部長は、インフレ期待が変化する中、コアCPIは7月ごろまでは3%を上回る状態が続くと予想。今回の結果は、米関税措置が発動されるまで、日銀の想定通りに推移していたことを明確に示しているとの見方を示した。

 

コア指数を上回る伸びが続いている総合指数は3.6%上昇とプラス幅が縮小。市場予想は3.7%上昇で、横ばいが見込まれていた。日銀では、近年の生鮮食品を含む食料品の価格高騰がインフレ期待に波及しないか動向を注視している。

賃金動向を反映しやすいサービス価格は1.4%上昇と、前月の1.3%上昇からプラス幅が拡大した。総務省によると、外食のハンバーガーのほか、訪日客をはじめとした旅行需要の拡大を背景とした宿泊料の上昇を反映。値上げの理由について人件費に言及する事例も見られるという。

連合が17日公表した今春闘の第4回回答集計(15日午前10時時点)によると、平均賃上げ率は5.37%は前回集計の5.42%から低下したものの、最終集計との比較で34年ぶりの高水準を維持した。賃金と物価の好循環の強まりが期待されている。

為替は反応薄

CPI発表後の円相場は小動きで、1ドル=142円40銭付近で推移していた。

りそなホールディングス市場企画部の井口慶一シニアストラテジストは、「ドル・円はトランプ関税のヘッドラインに右往左往し、日米関税交渉が始まったことで日銀の金融政策も仕切り直し」になり、CPIに対する反応は乏しくなったと指摘。「関税交渉の進展次第では日銀が利上げする可能性もあるが、現時点での可能性はかなり低下しており、CPIが強めでも円高で反応しにくい」と語った。

米国の関税措置を巡り、日本側の交渉役である赤沢亮正経済再生担当相は16日(日本時間17日)、ホワイトハウスでトランプ大統領と会談したほか、ベッセント財務長官ら閣僚と協議を行い、関税の見直しを強く求めた。米側からは、日本との協議を最優先に進める意向が示され、今月中に閣僚級の次回協議が行われるよう日程調整する。

総務省の説明

  • コアCPIの押し上げに寄与した生鮮食品を除く食料はコメ類のほか、鶏卵、3月に値上げが行われたハンバーガー(外食)など
  • エネルギーは政府による電気・ガス料金負担軽減支援事業が押し下げに寄与した。電気代・都市ガス代は足元の資源価格の上昇を映し、前月比では上昇
  • 総合指数は伸び率が縮小。ブロッコリーやトマト、イチゴなどで価格が下落するなど生鮮食品の伸び率が縮小したことが要因

(詳細とエコノミストコメントを追加して更新しました)

--取材協力:船曳三郎、藤岡徹.

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