なお、日銀の利上げは微妙なところだが、今回の対米通商交渉で「通貨問題」が議論の対象になることもあり、この点は利上げを促すと思われる。もちろん、この間に国内で消費者の予想インフレ率が上昇していることを示す指標があることも重要だ。日銀が4月11日に公表した「生活意識に関するアンケート調査(調査期間:2月6日~3月4日)」によると、今後5年間の予想物価上昇率は中央値こそ5%で不変も平均値は9.6%へと上昇した。また、トランプ関税が日本を襲う前の調査であるにもかかわらず、景況感は現況と先行きがともに悪化した。お米をはじめとする食料品のインフレが効いている可能性が高い。輸入物価の引き下げを狙い日銀が7月に動く可能性はある。

(※情報提供、記事執筆:第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト 藤代宏一)