(ブルームバーグ):ケネディ米厚生長官は11日、食品医薬品局(FDA)の全職員向けの会合で、「ディープステート(闇の国家)」が同局に及ぼす影響について警鐘を鳴らした。一方、同氏は発達障害のある子供らに関して不適切な発言を行った。
ブルームバーグ・ニュースが確認した招待状と同会議に詳しい複数の関係者によると、FDAの職員らはメリーランド州にある同局本部に集まり、同じ建物内の別室から行われたマカリーFDA長官とケネディ氏による講演を視聴する会合に参加した。
マカリー、ケネディ両氏は、米国の食品供給を調査し、規制の透明性を高め、公衆衛生を改善するというFDAのビジョンについて語ることから始めた。
だが、ブルームバーグ・ニュースが入手した音声記録とトランスクリプトによると、講演はすぐにディープステートや米中央情報局(CIA)の影響に関する警告へと話題が移っていった。ケネディ長官は、上司が安全でない製品の承認を迫った場合、内部告発を行うよう職員らに呼びかけた。
ケネディ氏は、「ディープステートは実在する」と指摘。「人間が作り出したあらゆる組織に影響を及ぼす制度的な圧力が存在する」と述べた。
FDAは、他の機関と同様に「本来規制すべき業界に取り込まれてしまった」とした上で、「反対派」や「代替医療」を提唱する人々をFDAが排除したと、同氏は主張した。
米厚生省とFDAに電子フォームの問い合わせを通じてコメントを求めたが、返答はなかった。ケネディ氏の側近はコメントを控え、ブルームバーグ・ニュースに対し電子フォームを通じて問い合わせするよう求めた。
一部のFDA職員は、ケネディ氏がその後に語った子供の健康や同氏自身が「自閉症の流行」と表現した内容について、困惑を表明した。複数の関係者が非公開の発言だとして匿名を条件に明らかにした。
関係者によると、ケネディ氏はキャンプで「知的発達の遅れた」とする子供らと一緒に働いた過去の経験について語ったが、知的・発達障害のある人物を表す際にこうした用語を使ったことでその場にいた多くの人が不快感を覚えたという。
ケネディ氏は長年にわたり、有病率など自閉症に関する情報を間違って伝えてきたほか、自閉症と一般的な小児ワクチンを結びつける誤った説を唱えてきた。
ケネディ氏は10日、自閉症の原因を解明するため「大規模な検査と研究」を実施すると発表。「9月までに自閉症の流行を引き起こしている原因を特定」し、要因を排除することが可能になるとの見解を示した。
原題:RFK Jr. Warns FDA Staff of ‘Deep State’ in All-Hands Meeting (1)(抜粋)
--取材協力:Madison Muller.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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