(ブルームバーグ):石破茂首相が退陣表明したことを受け、自民党内で「ポスト石破」を決める総裁選に向けた動きが活発化する。
昨年の総裁選で上位につけた高市早苗前経済安全保障担当相、小泉進次郎農相による争いが軸となるとみられる。物価高対策や日米関税交渉などに加え、少数与党の国会運営で連立拡大を含めた野党との協力の在り方などが争点になる。
新総裁は就任後、国会での首相指名選挙に臨む。与党は衆参両院で過半数割れしており、野党の対応次第で新総裁が首相に選ばれない可能性もある。
総裁選には高市、小泉両氏のほか、林芳正官房長官、小林鷹之元経済安保担当相、茂木敏充前幹事長、河野太郎前デジタル相、加藤勝信財務相らが立候補する可能性がある。候補に浮上している議員の横顔をまとめた。
高市早苗前経済安全保障担当相

英国の故サッチャー元首相を目標とする。学生時代にはヘビーメタルバンドでドラムを担当していた。松下政経塾出身の64歳。2回目の挑戦だった昨年の総裁選では1回目の投票でトップに立ったが、決選投票で石破首相に逆転された。石破政権では要職につかなかったが、高い知名度から参院選でも応援演説で全国を回った。
昨年9月の総裁選期間中に出演したインターネット番組で日本銀行の金融政策について「金利を今、上げるのはあほやと思う」と発言し、利上げをけん制した。今年5月のユーチューブ番組では、食料品対象の消費税率(8%)を0%に引き下げるべきだとの考えを示していた。
小泉進次郎農相

小泉純一郎元首相の次男。自民党が野党に転落した2009年の衆院選で初当選した。44歳。昨年の総裁選では国会議員票でトップだったが、党員票が伸びず3位となり決選投票に進めなかった。菅義偉副総裁に近いとされる。6日には菅氏とともに石破首相を訪ね、自発的に辞任するよう促したと報じられている。
石破内閣発足時に選対委員長を務めたが衆院選敗退を受け、辞任。その後、江藤拓氏が失言で辞任したことを受け、農相に就任した。コメ価格高騰対策では政府備蓄米を随意契約で売り渡す方式を導入し、引き下げに尽力した。石破首相の下、コメ増産を打ち出したが、農家の不安払しょくが課題となる。
林芳正官房長官

2回目の挑戦だった昨年の総裁選では小泉氏に続き、4位だった。政策通として知られ、参院議員時代に農相、文部科学相などを歴任。21年から衆院に転身し、岸田文雄政権下で外相、官房長官を務めた。石破政権でも官房長官に再任され、政権基盤がぜい弱だった首相を支えた。
解散した岸田派でナンバー2の座長を務めていた。楽器をたしなみ、主要7カ国(G7)外相の前でピアノの弾き語りを披露したことがある。64歳。
小林鷹之元経済安全保障担当相
50歳の小林氏は、若い世代のリーダーの1人と目されている。9人が立候補した昨年の総裁選では中堅・若手議員の支持を得て一番乗りで立候補表明の記者会見を行い、5位に食い込んだ。石破政権では要職につかず、参院選後は首相の早期退陣を促す発言を続けていた。
サラリーマン家庭に生まれ、財務官僚になったが、12年の衆院選で野党だった自民党から出馬し、政界入りした。宇宙資源法など議員立法にも取り組み、岸田内閣で初代の経済安全保障担当相を務めた。
茂木敏充前幹事長
大手コンサルタント会社勤務などを経て1993年の衆院選で初当選。現職幹事長として挑んだ前回の総裁選では6位だった。石破政権では要職から外れた。参院選後はユーチューブで党の再生には「リーダーも含めて主要なメンバーも決めてやり直していく姿」が必要と指摘し、首相を含めた執行部の交代を主張した。
経済産業相、外相、党政調会長なども歴任した69歳。日米貿易協定など通商交渉も担当したことがあり、「タフネゴシエーター(手ごわい交渉相手)」のイメージを売りにする。
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