若い世代を中心に住宅ローンの支払いが家計を圧迫(実感に近い実質賃金は低迷の模様)

近年では「土地家屋借金返済」の負担が増えている。
00年以降の推移を確認すると、24年時点では家計の「勤め先収入」(世帯全体)と同程度の水準で推移しており、住宅ローンの支払い増加が賃上げ(および共働きの増加による世帯収入の増加)の効果をかなり相殺してしまっている様子が窺える。特に最近の住宅を購入した層が多いと予想される「35-39歳」の住宅ローンの支払い増加は顕著である。最近住宅を購入した、もしくはこれから住宅を購入する予定の若い層は賃上げ率も相対的に高いと言われているが、最近の住宅価格の上昇によって住宅ローンの支払いも相応に増加している(実感に近い実質賃金が圧迫されている)点は割り引いてみた方が良さそうである(実感に近い実質賃金は低迷の模様)。

図表4:世帯の勤め先収入と土地家屋借金返済の推移① 出所:総務省より大和証券作成
図表5:世帯の勤め先収入と土地家屋借金返済の推移② 出所:総務省より大和証券作成

世帯収入カーブの変化と土地家屋借金返済カーブを比較すると、動きが分かりやすい。世帯収入カーブよりも土地家屋借金返済カーブの方が急速にフラット化していることが分かる。むろん、金額の変化幅としては賃金上昇幅の方が大きいが、賃金に対する住宅ローンの支払い比率は増加しているようである。やはり、若い世代ほど住宅ローンの支払いの負担が家計を圧迫し始めている可能性が高い。

図表6:世帯の勤め先収入カーブ 出所:総務省より大和証券作成
図表7:世帯の土地家屋借金返済カーブ 出所:総務省より大和証券作成