学内順位は将来の年収にも影響する
この「井の中の蛙」効果は、日本だけでなく海外の研究でも確認されています。
中室教授は、アメリカのテキサス州で行われた研究を引用し、次のように述べています。
「学力が同じ児童で、小学校3年生の時の学内順位が最下位になってしまった児童と別の学校で真ん中ぐらいの児童を比較すると、23歳から27歳の時の年収が約18万円から38万円ぐらい違うという研究も出ています」

この研究結果は、小学校時代の学内順位が将来の年収にまで影響を及ぼす可能性があるとしています。
これらの研究結果は、よくいわれる「いい学校に行けば、いい影響を受けて成績も上がる」という考え方とは異なります。
「学力の高い学校に入って学力が伸びるのは、自分が学力が高いときだけなのではという研究もあります」
つまり、単に学力の高い学校に入学するだけでは、必ずしも良い結果につながるとは限らないということです。
親の役割は子どもの自信を支えること
中室教授は、こうした研究結果を踏まえた上で、親の役割についても言及します。
「通うと決めた学校に入学後、子どもが他の人と自身を比べたときに自分の子どもが自信を失わないように支えてあげるっていうことが、どんなときも大事なんだと思うんです」

子どもの成長を評価する際には、他人との比較ではなく、自分自身との比較が重要だと中室教授は強調します。
「人と比較するんじゃなくて、自分と比較する、自分の成長をちゃんとモニターしていく。子どもの年齢が小さくて子ども自身でできない場合は親がそれをやっぱ支えてあげるっていうことが大切ですよね」

学内順位の重要性と個人の成長
“小学校の学内順位が将来の学歴や年収に影響を与える”という研究結果は、単に「トップを目指せ」という結論ではありません。
重要なのは、子どもが自信を持って学習に取り組める環境を選ぶこと、そして子ども自身の成長を適切に評価し、支援することです。
親や教育者は、子どもが自分の可能性を最大限に発揮できるよう、適切な環境選びと継続的なサポートを心がける必要があります。