(ブルームバーグ):トランプ米大統領が批判している洋上風力発電を巡り、ケネディ厚生長官が新たな圧力を加えた。事情に詳しい複数の関係者によると、ケネディ氏は洋上風力発電が及ぼし得る漁業への影響を調査するよう疾病対策センター(CDC)のスタッフに指示した。
トランプ氏は政権を挙げて、洋上風力発電の阻止に動いている。
関係者が匿名を条件に明らかにしたところでは、厚生省は夏の終盤にCDC傘下の国立労働安全衛生研究所(NIOSH)に対し、洋上風力が漁業に与える影響に関する調査計画を立てるよう指示した。ケネディ長官はNIOSHのジョン・ハワード所長と面会し、調査チームが意見を聞くべき専門家のリストを示したという。
米公衆衛生局長官室もこの取り組みに関与している。厚生省は政府機関閉鎖前の段階では、2カ月以内の調査完了を目指していた。
関係者の1人によると、厚生省のスタッフは洋上風力発電が及ぼし得る健康への影響を調査している。タービンで発電した電力を送電網に送る海底ケーブルから発生する電磁波も調査対象だという。
一方、洋上風力発電推進派は健康への悪影響はないと主張している。厚生省報道官にコメントを求めたが返答はなかった。
トランプ氏は以前から風力発電を激しく攻撃。英スコットランドにある自身のゴルフコースの沖合に風力発電所を建設するプロジェクトに反対したほか、風力発電所ががんを引き起こすと根拠なく主張している。さらに政権として、複数の大規模風力発電プロジェクトの建設停止命令や許可取り消しを行ってきた。
ケネディ氏も長年にわたり風力発電を批判してきた。政権入り前には一族の別荘近くのマサチューセッツ州沖の洋上風力計画に反対して法廷闘争を繰り広げた。また、昨年の大統領選中には洋上風力を「大惨事」と呼んで批判していた。

原題:RFK Jr. Orders CDC Study on Alleged Harms of Offshore Wind Farms(抜粋)
--取材協力:Mark Chediak、Jessica Nix.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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