(ブルームバーグ):2025年はホワイトカラーの雇用市場が再び活況を呈する年になるはずだった。しかし、雇用主は過去数年で最も急速なペースで人員削減を進めており、求職者は仕事を見つけるのに苦労している。安定した仕事を手にしている人の多くは転職に消極的だ。
不確実性の新時代が到来している。トランプ大統領が相次いで打ち出す関税措置は経済を揺るがし、連邦政府機関では大量解雇が進み、メタ・プラットフォームズやJPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックス・グループなどの大企業も人員削減を行っている。金融市場には、景気後退(リセッション)懸念が重くのしかかっている。
こうした状況がホワイトカラーの悲観的な見方に拍車をかけている。ブルームバーグ・ニュースの委託でハリス・ポールが最近実施した調査によると、米国人の70%余りは今の仕事より良い仕事を見つけるのは難しいと考えている。
ニューヨークとフロリダを拠点とするキャリアコンサルタントのマギー・ミスタル氏は「これは大きな変化だ」と指摘。「最近は『何が起きるか分からないから今の仕事にとどまるつもりだ』という人が多い。そういう人は大金は手にできないかもしれないが、安定はしている」と語った。

昨年は金利の先行きや大統領選の行方、経済の健全性を巡る不透明感で企業は採用を抑え、求職者も様子見姿勢が強かった。2025年は当初、こうした霧が晴れると考えられていた。実際、求人件数の増加など労働市場の回復を示すデータも一部にはある。
しかし、求職活動の最前線に広がる景色は違う。カリフォルニア州マンモスレイクス在住のサブリナ・スウォーサウトさん(27)はこの1カ月間、デジタルマーケティングの仕事を探していたが、思ったような結果を得られずにいる。すでに約200件のポジションに応募したが、現在は別の業界にも目を向けるようになったという。
「同じような境遇の人がいかに多いかを知ると落胆する」とスウォーサウトさんは語った。

原題:‘I Value Stability’: White-Collar Workers Cling to Current Jobs(抜粋)
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