(ブルームバーグ):ベッセント米財務長官は、メキシコが米国の対中関税に合わせることを提案しているとし、数日内にメキシコ製品への関税賦課が回避される道筋があることを示唆した。同時にカナダにも同様の対応を促した。
ブルームバーグ・テレビジョンとのインタビューで「メキシコ政府が提案した非常に興味深い案の一つは、おそらく米国の対中関税に合わせることだ」と指摘。「カナダもそれを行えば、中国輸入品の洪水から守る『北米の要塞』を持つことが可能で、良いジェスチャーになる」と語った。

これに先立ち、ブルームバーグは事情に詳しい関係筋の話として、メキシコはトランプ米政権による関税発動の回避を目指し、中国からの輸入品に対する関税を引き上げ、米国からの輸入を増やす方法を見つけることに前向きになっていると報じていた。
メキシコのシェインバウム大統領がトランプ政権との継続的な協議の一環として、この申し出を行う予定だという。公に話す権限がないとして関係者の1人が匿名で語った。
ベッセント氏の発言を受け、メキシコ・ペソは下げ幅を縮小し、2月28日終盤の取引では1ドル=20.51ペソとほぼ横ばいになった。
北米全体で関税率を合わせることがどのように機能するかは現時点で不明だが、メキシコおよびカナダの対中貿易への影響は大きいとみられる。
メキシコの計画に詳しい関係者の1人は、メキシコが中国に関税をかける可能性があるのは、自動車と自動車部品が中心になると指摘。別の関係者も完成品が対象に含まれる可能性があると述べた。
メキシコ経済省はコメントを控えた。
ラトニック商務長官らトランプ政権高官は、ワシントンで先週20日に開かれたエブラルド経済相をはじめとするメキシコ代表団との会合で、中国からの輸入品に独自の関税を課すべきだと伝えていた。
協議に詳しい関係者2人は、安全保障と違法薬物対策に関する米国とメキシコの協議は、貿易と関税よりも進んでいると明かした。
カナダは昨年夏、米国の政策に歩調を合わせる形で中国製の電気自動車(EV)や鉄鋼、アルミニウムに対し新たな関税を課した。12月にはレアアース、半導体、太陽光パネルなどの中国製品に対する関税第2弾を確約していたが、まだ実施されていない。関係者によると、トランプ氏との交渉カードとして使用される可能性もあるという。
原題:Mexico Open to New Tariffs on China to Avoid Trump Duties、Bessent Calls on Canada to Match Mexico’s Pitch on China Tariffs(抜粋)
(ベッセント米財務長官の発言などを追加して更新します)
--取材協力:Carolina Millan、Maya Averbuch.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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