(ブルームバーグ):香港の立法会(議会)は10日、同性パートナーシップを正式に認める画期的な法案を、14対71の反対多数で否決した。同性カップルに失望が広がるほか、最高裁の命令に逆らう形となり、法的な不確実性が生じている。
現行の立法会任期が2022年に始まって以来、法案が投票で否決されたのは今回が初めて。LGBTQ(性的少数者)コミュニティーに打撃となる上、国際的なビジネスや人材の包括的な拠点としての香港のイメージを損なうリスクがある。
香港終審法院(最高裁)は2023年、同性愛者の権利活動家ジミー・シャム氏が司法省を相手取って起こした訴訟で、政府が同性カップルのための代替制度を提供していないことは香港人権法に違反すると判断し、25年10月27日までの法改正を命じていた。
提案を主導した政制・内地事務局の曾鈺成事務局長は記者団に対し、結果は残念だが政府は決定を尊重すると述べた。当局は裁判所に対し法改正期間の延長を申請せず、司法省と次の対応を協議するという。
否決された「同性パートナーシップ登録法案」は同性カップルを法的に承認し、医療関連や死後の手続きで一定の権利を認めるはずだった。対象となるのは、海外で登録された婚姻など有効な同性パートナーシップ関係にあるカップルだった。
香港政府はこれまで、この義務を履行する法的責任があると表明していたが、今や法的に不安定な立場となった。配偶者ビザ、公営住宅、トランスジェンダーの権利など、法廷が主導してきた香港のLGBTQ問題に関する一連の進展は、今回の否決により重大な後退を余儀なくされた。
法案を巡っては、中国政府主導の反対派の弾圧で、野党議員が排除されてきた近年の議会としては異例の激しい議論となった。
法案に反対した議員らは、この立法が事実上の同性婚承認に当たり、伝統的な家族価値観を脅かすと主張した。支持派は、法案を否決すれば香港の法の支配に対する評判が損なわれると訴えた。
香港では2014年にも、議会が最高裁の命じたトランスジェンダー結婚法案を否決した。
原題:HK Rejects Bill Giving Rights to Same-Sex Couples Married Abroad(抜粋)
--取材協力:Twinnie Siu、Felix Tam.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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