米消費者のセンチメントは2月下旬に低下した。トランプ大統領の関税政策が物価を押し上げるとの懸念で、長期のインフレ期待が30年ぶりの高水準となった。

左:長期インフレ期待、右:消費者センチメント指数

高額商品の購入環境に関する指数を含め、指数を構成する5項目全てが悪化した。向こう1年で失業率が上昇するとの回答率は50%を超え、2020年以来の高さとなった。

貿易戦争の見通しが消費者物価の先行きを暗くしているため、インフレ期待の重要性が改めて高まっている。この結果、消費者のセンチメントは今年に入って低下。昨年11月の選挙後に共和党支持者の間で高まった熱気とインフレ緩和への全般的な期待で、センチメントは押し上げられていたが反転した。

動画:消費者マインド指数について伝えるブルームバーグテレビジョン

関税とそれが消費者物価に与え得る打撃が不透明なことは、政策金利に影響を及ぼしかねない。インフレ抑制の進展が失速したことを踏まえ、連邦準備制度理事会(FRB)当局者らは追加利下げを急いでいない姿勢を示している。

ミシガン大消費者調査ディレクターのジョアン・シュー氏は「将来の大幅な物価上昇を見越して、消費者が支出を増やし続ければ、インフレ期待の上昇はそれ自体がインフレを加速させかねない」と発表文で述べた。

エコノミストもインフレ加速を予想している。ブルームバーグがまとめたアナリスト調査では、1-3月(第1四半期)の個人消費支出(PCE)コア指数の上昇が予想されている。

この日発表された別の統計では、2月の米企業活動ペースが鈍化。サービス業活動の縮小が響いた。1月の中古住宅販売件数は昨年9月以来の減少となった。

現況指数は65.7と、前月の75.1から低下。家計状況に対する見方も悪化した。

全体のセンチメント低下は、支持政党別では民主党と無党派が大半を占めた。

統計の詳細は表をご覧ください。

原題:US Consumers Long-Run Inflation Views Rise to Highest Since 1995(抜粋)

(統計の詳細やチャートを加えます)

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