米政府がカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)に金銭的制裁を科そうとする動きは州全体を脅かしている。カリフォルニア大学(UC)システムのジェームズ・ミリケン総長が17日、そうした認識を示した。

ミリケン氏はこの日開催されたUC理事会で、「UCLAに対する措置は、われわれが直面する真の課題の解決には全くつながらない。むしろわれわれの将来に暗い影を落とし、制度の存続可能性に疑問を投げかけ、州と国の未来を脅かしている」と語った。

トランプ政権がハーバード大を厳しく締め付けるのはなぜか?

トランプ政権は、UCLAにおける反ユダヤ主義や公民権侵害の疑いを巡り、総額10億ドル(約1470億円)余りに上る包括的な和解案を提示している。米紙ロサンゼルス・タイムズが今週報じたところでは、この和解案は、コロンビア大学やブラウン大学などのアイビーリーグ校と政府が結んだ合意を大幅に上回る規模で、入学審査や雇用、スポーツ、医療の各慣行で大幅な改革をUCLAに求める内容だという。

ミリケン氏は15日に大学コミュニティー宛ての書簡で、司法省との交渉が続く中でも「自校の中核的価値観を放棄することはない」と強調。また、UCシステムの全10キャンパスで調査が進められており、広範な財政的混乱のリスクがあると指摘した。

ロサンゼルス・タイムズ紙によれば、UCLAへの提案には年間2億ドルを5年にわたって支払うほか、公民権侵害を訴える人々のために1億7200万ドル規模の補償基金を創設する案が盛り込まれている。その見返りに、政府は米国立衛生研究所(NIH)やエネルギー省からの連邦研究資金約5億ドルの凍結を解除するとしている。ただ、詳細条件はまだ交渉中だという。

ミリケン氏は8月1日にUCシステムの総長に就任した。その前日、UCLAはトランプ政権から数億ドル規模の連邦研究資金が凍結されたとの通知を受けたと明らかにしていた。

原題:University of California Head Sees ‘Dark Shadow’ From Trump Plan(抜粋)

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