日本オリジナルへの投資のきっかけは『全裸監督』

中山:一方、日本は2016~2018年頃が「dTV最強時代」でした。

野村:dTVはdocomoが提供していた動画配信サービスですね。

中山:その頃にはU-NEXTやフジテレビのFODなども台頭してきていました。あのときNetflixは『火花』や『アンダーウェア』、『テラスハウス』などいろいろな日本のオリジナルタイトルを作っていましたが、そんなに跳ねなかったんですよ。

2018年頃まで数字が上がらなくて、「日本オリジナルのコンテンツは作らなくていい」といわれていたようです。「日本は難しいから、作るのではなく、作品を買ってこい」と。そのままでは他のストリーミングサービスに勝てないというなかで、分岐点とされるのが2019年の『全裸監督』でした。

野村:『全裸監督』が分岐点だったんですか。

中山:具体的な数字は公表されていないのですが、『全裸監督』が日本オリジナルの作品が評価されるきっかけとなって、『今際の国のアリス』で世界に波及していったと感じています。

野村:日本のオリジナルが作れない「冬の時代」があったのですね。

中山:当時は韓国の方がお金かけていたのですよね。韓国ドラマのNetflixって年間やっぱり1兆円~1. 5兆円かけていて、僕は日本でももっと投資したらいいのにと思っていました。

やはり『イカゲーム』の後はもっと韓国シフトになっていて。そういう中で『全裸監督』『今際の国のアリス』『サンクチュアリ』が出てきたあたりから、「日本のドラマは海外でも当たるよね」という声が日本のテレビ局からも聞こえてくるようになりました。

そしてNetflixが花開いたのは2024年だと僕は思います。『シティーハンター』『地面師たち』『極悪女王』ですね。「もうええでしょう」という『地面師たち』のセリフがあちこちから聞こえてくるようになりました。

2020年ぐらいからようやくオリジナル作品が花開き、投資もするぞっていう流れになりました。こうしたきっかけで、この頃に作り始めた作品が、『地面師たち』や『シティーハンター』のはずなのですよね。それでいうと近年5年で花が開いた印象です。