(ブルームバーグ):トランプ米政権は東南アジアに拠点を置くサイバー詐欺ネットワークを制裁対象に指定した。強制労働を利用し、米国人から毎年多額の資金を詐取しているとされる組織への圧力を強める。
米財務省が8日発表した措置は、すでに制裁対象としているカレン民族軍(KNA)の保護下で活動しているとされるミャンマーの9組織と、暗号資産(仮想通貨)投資詐欺を行っているとされるカンボジアの10組織を対象としている。
ハーリー財務次官(テロ・金融情報担当)は声明で、「東南アジアのサイバー詐欺ビジネスは、米国人の生活や金融の安全を脅かすだけでなく、数千人が現代の奴隷状態に置かれている」と指摘。「財務省は組織的な金融犯罪に立ち向かい、米国人を深刻な詐欺被害から守るため、あらゆる手段を駆使する」と表明した。
同省によると、東南アジア拠点の詐欺による米国人の被害額は昨年、100億ドル(約1兆4700億円)を超えた。
今回の措置は、東南アジアの大規模サイバー詐欺の台頭に対するトランプ政権の取り組みの一環。財務省によれば、求職者が虚偽の募集により拠点に誘い込まれ、暴力の脅しの下でオンライン詐欺に従事させられているという。
新型コロナウイルス禍の時期に拡大したこの詐欺活動は、一連の摘発で数千人が拘束されたことからこのところ注目を集めている。
詐欺の手口はさまざまだが、目的は金融資産の詐取だ。最初はショートメッセージやダイレクトメッセージのほか、間違い電話を装うなどして接触し、被害者に電子機器へのリモートアクセスを共有したり、ソフトウエアをインストールしたりするよう促す。その後、豚を太らせてから処理することを意味する「ピッグ・ブッチャリング」と呼ばれる手口で、仮想通貨やその他の詐欺的投資に誘い込み、詐取する金額を膨らませて被害を拡大させるなどしている。
原題:Trump Targets Asian Cyber Scam Centers That Bilked Billions(抜粋)
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