金融市場の展望(当面のシナリオ)

金融市場ではトランプ氏勝利の直後、減税や規制緩和への期待から、株高・金利高・ドル高が進んだ。今後は、新政権発足前後にかけて関税引き上げや移民制限が具体化されるにつれ、金融市場は悪影響への警戒感から神経質な動きになる可能性もあろう。

しかし、その後トランプ次期大統領が関税引き上げについて極端な措置は避ける中、主要国中銀の利下げが続けば、市場は堅調さを取り戻すとみている。

注目される原油価格の動向

トランプ次期大統領はウクライナ・中東地域の早期紛争終結を実現すると述べてきた他、環境規制の緩和・ 米国のエネルギー生産を増加させる方針を示している。一方で、石油輸出国機構(OPEC)プラス諸国による減産努力にも限界があるとの見方も出ている。紛争がエスカレートし原油高につながるリスクも残るが、早期の紛争終結が実現した場合、原油価格の推移レンジが下方へシフトする可能性も考えておくべきだろう。

(※情報提供、記事執筆:三井住友DSアセットマネジメント チーフマクロストラテジスト 吉川 雅幸)