(ブルームバーグ):米カリフォルニア州の車両管理局(DMV)は16日、電気自動車(EV)メーカーの米テスラに対し、同社の運転支援技術について消費者に誤解を与えている疑いのあるマーケティング手法を改めるよう求め、応じない場合は同州での販売を30日間停止する方針だと発表した。
DMVはテスラが異議を申し立てる、あるいは規定を順守する時間的猶予を与えるため、停止処分は90日間発効しないと述べた。当局はテスラが「オートパイロット」や「フルセルフドライビング(FSD)」ソフトウエアの能力を誇張していると非難し、停止処分が妥当かどうか検討するよう行政法判事に求めていた。
16日の米株式市場の時間外取引で、テスラ株は一時2.2%下落。通常取引では上場来高値を更新して引けており、年初来では21%上昇している。
販売許可が停止されれば、テスラにとっては打撃となる。全米で最も人口の多いカリフォルニア州は、同社にとって米最大の販売市場であるだけでなく、主要工場を構える場所でもあり、たとえ一時的な混乱であっても大きな損失につながる可能性がある。
オートパイロット
テスラが一定の業界基準を満たさない技術についてオートパイロットという名称の使用を中止する、あるいは中止するための措置を講じると記述した文書を提出すれば、DMVによる停止処分を避けられる。
テスラは発表文で、DMVの措置について、「これは問題があると名乗り出た顧客が一人もいないケースを巡る『オートパイロット』という用語の使用に関する『消費者保護』命令だ。カリフォルニア州での販売は中断することなく継続される」と説明した。
テスラ側の弁護士は、同社の広告が合衆国憲法修正第1条の下で保障される言論の自由に当たると主張し、DMVによる処分を回避しようとしていた。また、規制当局がマーケティング文言の文脈を無視し、運転支援システムに関するテスラの警告や開示情報も考慮していないと批判した。
DMVのディレクター、スティーブ・ゴードン氏は記者団に対し、「われわれはテスラに対し、他の市場ですでに行っているように、自らの仕事を果たし、車両のブランド表示を適切に行うよう求めている」と述べた。声明では、テスラが「単純な措置」を講じれば、今回の問題を恒久的に解決できるとも指摘した。
テスラの主張
テスラによる運転支援ソフトのマーケティング方法やその性能を巡っては、連邦検察や証券規制当局、道路交通安全局(NHTSA)も注視してきた。
自動車安全規制を担うNHTSAは、オートパイロットについてドライバーによる誤用を防ぐ対策が不十分だと判断した後、テスラは2023年に200万台のリコールを実施した。今年8月には、マイアミ連邦地裁の陪審が死亡事故についてオートパイロットに部分的な責任があるとして2億4300万ドル(約380億円)の賠償金支払いを命じていた。
イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、テスラ車が史上最も安全な車だと繰り返し主張。ここ数年、同社の将来を自動運転に賭けており、現在はロボタクシー事業を強化している。
カリフォルニア州の自動車安全規制当局は、テスラが21年と22年に「虚偽、または誤解を招く」発表をしたことで州法に違反したとの見方を示す。その中には、テスラ車が「運転席で必要とされるアクションなしで、短距離および長距離の移動を行うことができる」とする広告も含まれていた。
DMVなど規制当局が免許保持者を処分する場合、行政法判事の承認が必要となることが多い。こうした事案は州裁判所や連邦裁判所での本格的な民事・刑事訴訟とは異なるものの、判事は決定を下す前に双方から証拠を聴取し、資料を審査する。
カロバー・キャピタルのハリス・クルシド最高投資責任者(CIO)は、車載先端技術の販売ビジネスを拡大しようとしているテスラの取り組みを巡り、カリフォルニア州当局の措置が全米規模で影響を及ぼす可能性もあると指摘した。
「規制当局が自動運転に関するテスラの主張に待ったをかければ、人工知能(AI)を巡るストーリーが実際の収益につながっていくペースに直接影響する」とクルシド氏は分析。「テスラは長期的には勝利する可能性があるが、今回のような動きは宣伝と実用化との間の溝を広げることになる」と述べた。
原題:Tesla Faces California Sales Halt Unless It Alters Marketing (2)(抜粋)
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