(ブルームバーグ):SBI新生銀行がきょう17日、東京証券取引所に上場する。ことし2番目の大型新規株式公開(IPO)で、公的資金を完済して再び上場を果たした。
公開価格は仮条件の上限1450円。公募と売り出しの合計額である市場吸収金額(IPO規模、オーバーアロットメント分を除く)は3219億円と、ことしの国内案件ではJX金属に次ぐ大きさとなった。2025年の国内IPO調達金額は現時点で1兆2500億円と、18年以来の規模に膨らんだ。
公開価格で計算した時価総額は1兆2985億円。農林中央金庫や米投資会社のKKRが購入したほか、カタール投資庁やM&Gインベストメント・マネジメント、ブラックロックなどもIPOでの株式購入に関心を表明していた。
国内外での株式販売など案件全体を取り仕切るジョイント・グローバル・コーディネーターは野村証券、SBI証券、みずほ証券、ゴールドマン・サックス証券、SMBC日興証券、BofA証券。
親会社のSBIホールディングスは7月、公的資金注入に伴い政府系機関が保有していたSBI新生銀の優先株式を取得、公的資金を完済した。SBI新生銀の前身である旧日本長期信用銀行は多額の不良債権を抱えて1998年に破綻、資本注入を受けて国有化され上場廃止となった。
その後米投資ファンドの下で新生銀行として再上場を果たしたが、株価上昇が条件となる公的資金の返済の仕組みが障害となり、一部を除き返済が滞っていた。このため、公的資金の完済を目的にSBIHDが株式の公開買い付け(TOB)を23年に実施してSBI新生銀をいったん非上場化した。
これについて海外投資家らが買い取り価格が低過ぎるとし、公正価格の決定を求めて東京地裁に申し立てを行っていたことが明らかになった。裁判所の判断によってはSBI新生銀が支払いを命じられる可能性がある。
また、アクティビスト(物言う投資家)の野村絢氏や村上世彰氏の関連ファンドであるエスグラントコーポレーションが、TOB価格よりも高い価格でSBI新生銀株を売却していたほか、野村氏がSBI新生銀の上場に伴い最大で100億円をSBIHDから受け取ることも明らかになっている。
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