■「教科書の内容が頭に入らない・・・」大人はどう対応?

「体がだるい」眠れないほどの倦怠感が12歳の女の子を襲う


実際にヒラハタクリニックに通う子どもたちに話を聞くと、その症状は深刻だ。

女子小学生
「(倦怠感は)なんか…大きい岩が自分の体の上に乗っている感じ」

男子中学生
「頭が真っ白になっちゃって、何も考えられなくて、何で俺だけこうなっちゃったんだろうと、結構、精神的にもきつくて…」


ヒラハタクリニックでは、子どもの“コロナ後遺症”患者は、高校生が比較的多いという。ある程度自分の状況を理解し、言葉で表現できる年齢だ。そのことが診察につながる一歩になっている。

一方で、“コロナ後遺症”は自分の状況を言葉で表現できない幼い子どもたちにも起きている。平畑医師は、周囲の無理解が後遺症を悪化させているケースがあると警鐘を鳴らす。

平畑医師は2020年からコロナ後遺症専門外来を設置し、4000人以上の患者を診てきた


ーー乳児や幼児にもコロナ後遺症はあるんでしょうか?

「あります。一番小さい子だと1歳児で相談にこられているケースがあります。幼稚園児や小学校低学年の方々も多く来られています。自分の不調をなかなか言葉でうまく表せない年代です」

ーーだとすると、親御さんはどのように後遺症に気づかれるんでしょうか?

「それまですごく元気だった子が突然外に行きたがらないとか、幼稚園、保育園、小学校から帰って元気に走り回ってるのが普通だったのに、だるそうにぐったりしてるとか、そういったことで気づかれる方が多いようですね。親御さんは、いかに言葉にできない子どもたちの不調を拾い上げていくかが非常に大事になってくると思います」

ーー子どもの“コロナ後遺症”に気づけないとどうなるんでしょうか?

「無理をさせるとコロナ後遺症は症状が重くなることが多いです。にもかかわらず、コロナ後遺症だとわからないで、親御さんが不安になるあまり、無理やり学校に行かせるっていうケースが結構あるんです。

また子どもは、少し元気になったときに最初にやることが遊びだったりするわけですね。テレビを見たり、スマホをいじったり。そういう姿を見て怠けているだけと勘違いし「勉強しろ」としかってしまうこともあるようです。

でも実際は、後遺症が進むと勉強は一切できなくなります。教科書を見るだけでもつらくなり、文章は読めるけど内容が頭に入らないなど深刻です。そういう状態で無理やり勉強させたり、鍛えたらそのうちできると思って本を読ませ続けたりすると、症状がますます重くなってしまいます」

ーー勉強ができなくなるというのは、子どもにとって長期的に悪影響を及ぼすリスクだと感じます。

「ですので、コロナを軽視しないで、かからないようにすることが大事です。後遺症にならない一番の方法は感染しないことです。多くの方にとって、特に感染が爆発的に拡大している状況においては、ワクチンも打っておいた方がいいものであると思います。

そして、コロナにかかってしまったら『子どもにもコロナ後遺症がある』『無理をさせてはいけない』ということを意識して、感染後も子どもに気を配ることが重要です」