実は、このアカマツをはじめ庄川の堤防に植えられた木々は古くなり、すでに倒木などの被害が出ています。そのため富山河川国道事務所は、堤防の木々を伐採したほうがよいと考えていて、樹木医による木々の状態確認を進めているといいます。

富山河川国道事務所・大門出張所 
藤本真紀所長:
「まだ土木技術が十分でなかったときには、作った堤防を強固にするという意味で木を植えるということは十分に意味のあったことだと思いますが、現在の土木技術においては、木などの異物があることは逆に弱点になってしまう可能性がある」


洪水が起きた際、堤防のなかに木があると、木の根っこや空洞から水が入り、堤防が崩れるおそれがあるというのです。

柏樹さん:
「今残っている松の木は切った方がいいと?」
藤本所長:
「基本的にはそういうふうに考えていますけど、ただ歴史的に非常に価値があるというのは、私たちも考えてはいるので、どうしてもダメなものは早く切るけども、残りの部分についてはそういったみなさんの意見も伺いながら、今後どうしていくかは考えたい」


富山河川国道事務所は柏樹さんたちの意見を砺波市に伝えて、今後の対応を検討したいとしています。

カイニョお手入れ支援隊・但田富美男さん:
「春は桜並木がすごくきれい。桜が散っても松の緑がずらっとあって。自慢できる景色」
柏樹さん:
「少なくとも170年ほど前の歴史を物語る姿だと見た方がいいと思う。歴史的景観。国土交通省にしてみれば(枯れてしまったことは)伐採するのに良いのかもしれないよ。でも歴史や言い伝えとか景観、カイニョとの相乗効果を考えると、なくならせない方が私はいいと思ってる」

砺波の人々と庄川の共存を願って植えられ、地域を見守ってきたアカマツは今、変化のときを迎えています。

【取材後記】
この並木道は桜の名所としても知られていますが、この庄川沿いの桜の木については、洪水の危険がないよう堤防の外側に盛り土をしたうえに植えられているそうです。同じ方法でアカマツを補植することもできますが、それには砺波市が「実施主体」となったうえで、国交省が許可をするという流れとなり、さまざまな人の理解が必要になってきます。こうした猛暑の影響は、砺波市の原風景である「散居村」の屋敷林(カイニョ)にも出るのではないかと懸念されています。