夜勤で2人きりの時間を狙った犯行
犯行当時、被告は女性と2人きりで夜勤の業務に従事していました。
女性がイスに座って仕事していたところ、突然、被告が女性の首に背後からキスをします。「やめてよ」と女性は拒みますが、被告は女性の太ももにまたがって動きをおさえたうえ、女性のマスクを外そうとします。女性の供述によれば、被告は「いいじゃないですか」と軽い口調だったといいます。
女性は体を動かしなんとかイスから立ち上がってその場を離れました。しかし、被告に後を追われ、服の中に手を入れられると、乳房を触られたといいます。
そのとき、施設のナースコールが鳴り、被告は手をはなし犯行をやめました。
女性は検察官の調べに対し、被告の犯行のあまりのしつこさに恐怖を覚え、今では夜勤に入ることができなくなったといいます。さらに時折、被告の犯行がフラッシュバックし、食事が思うようにのどを通ず、体重が減ってしまったとも…。被告に対し「法に則って適切な処罰を受けてほしい」としています。
通訳を介さずに行われた被告人質問ではー。
~弁護側の被告人質問~
弁護側「いつ日本に来たか?」
被告「5年ほど前」
弁護側「なぜ日本に?」
被告「日本語学校に通うためです、2年間通って、卒業して、介護の道を紹介された」
弁護側「学校を卒業したあとは?」
被告「施設に正社員として就職した。施設から奨学金を借りて福祉の専門学校にも通った」
弁護側「あなたと被害女性の関係は?」
被告「女性は私の上司。同じ部署で働いていて、会うことも多かった」
弁護側「女性の印象は?」
被告「優しくて、気さくで、何でも相談に乗れる」
弁護側「相談というのは?」
被告「人間関係で困っていた時とか」
弁護側「ナースコールが鳴って最後は自分からわいせつな行為をやめた?」
被告「はい」
弁護側「なぜやめたのか?」
被告「調子に乗っていたこともあって、少し無理やり…」
弁護側「無理やりすれば女性は受け入れると勘違いした?」
被告「そうです」
弁護側「事件のあと女性には何か連絡をしたか?」
被告「直後にLINEで謝罪を送りました、返事はありませんでした」
弁護側「事件のあと、あなたはどうなりましたか?」
被告「そのまま自宅待機になって、解雇になったり、被害届が出されることを聞いた」
弁護側「その間、あなたの精神状態は?」
被告「毎日不安で、罪悪感がすごかった」
弁護側「病院には行きましたか?」
被告「1度行った、うつ病だと診断された」
弁護側「自宅待機後は?」
被告「(奨学金を返すために)就職した、違う病院で介護福祉士の仕事を始めた」
オユンビレグ被告は弁護側からの最後の質問に、か細いながらも声を振り絞って被害女性への思いを語りました。
弁護側「女性にいま思うことは?」
被告「自分からやってしまったことは恐怖や不快感もあった。申し訳ないと思っている」
弁護側「2度としないことを約束できるか?」
被告「はい、約束します」
「無理やりすれば女性は受け入れる」と思ったという被告ですが、検察からの被告人質問で、被害者は被告に対して好意を示したことがなかったことが明らかになりました。