子どもたちが “すぐに時間がわかる”

アクタス富山店 細川寛二店長:
「それ目当てで来る方が多い。入学祝いに選ばれる方がすごく多い」「子どもが魔法にかかったように時間を読めるようになった」

そんな口コミが広がり、2014年の販売開始以来、世界各国で、9万個を売り上げ、2017年には、グッドデザイン賞を受賞。その名も「ふんぷんくろっく」です。

どうして子どもたちに魔法をかけることができるのか。製造している高岡のタカタレムノスを直撃しました。

ふんぷんくろっくデザイナー 土橋陽子さん:
「子どものいるご家庭のお母さんたちって普通の時計の周りに自分たちで1の外側に5分、2のところに10分というようなシールとかを手作りして壁に貼っていたりする。それって美しくないなと思って。外側に貼ってあるシールをこの中に収められないだろうかと四苦八苦したところから始めた」

ギモン:長い針が「2」…なぜ10分?

子どもたちにとって、時計特有の数の数え方は理解が難しいものですが、ふんぷんくろっくは赤い針の先端の数字を読むだけですぐに時間がわかるデザインになっています。

実際にふんぷんくろっくを使っている幼稚園では。

「5、4、3、2,1,0!またこうなった。23分!」

かたかご幼稚園 山本暁子先生:
「すごいなと思ったのは、この短い針がきちっと時間をさして、分かりやすい。この何分というところも外にあって、長い針に合わせてあって、短い針に何時というのが合わせてあるのが、みんなにも分かりやすかった」

見た目の評判も上々です。

園児:
「この時計どう?」
「すごくかっこいい!」
「すごくかっこいいと思うし、すごい色とかもかわいい!」

園児たちもお墨付きの「ふんぷんくろっく」。
実は、他にもこんな工夫が…。

ふんぷんくろっくデザイナー 土橋陽子さん:
「最初から絶対(分針は)スリットと決めていて」

例えば、分針のスリットから「2」を見せることで一般的な時計に置き換えても「10分」と読めるようなデザインになっています。

土橋さん自ら保育園へ出向いて子どもの意見を聞きながら、2年の歳月をかけて作られた「ふんぷんくろっく」。

タカタレムノスでは、毎日300個、年間で1万個以上製造し、その全ての組み立て工程を職人が手作業で行っているそうです。

タカタレムノス 窪田雅俊さん:「まっすぐささないと、時間がずれてしまうので。特にこのふんぷんクロックはしっかりお子さんに時計を読んでもらうために秒針の位置までもしっかり(正しい位置に)くるように、人の手でやっていかないと」

土橋さんには、この「ふんぷんくろっく」を通して伝えたいことがあります。

ふんぷんくろっくデザイナー 土橋陽子さん:「時間だけは、延ばしたり、変えたりできない。みんなに平等なものだと。(時間を)自分で使いたいように選択して、自分で納得してできるようなツールとして愛されていくようなものにしていきたい」