仕入れ価格の上昇を価格に転嫁できずに倒産に追い込まれる、いわゆる「物価高倒産」が急増しています。昨年度は前の年度の3.4倍にも増えて、10か月連続で最多を更新しました。県内でも物価高倒産が相次いでいますが、中でも多いのが「養鶏業」です。卵不足のエッグショックが広がる中で、倒産が相次いでいる背景を追いました。

記者:「去年、倒産した養鶏業者です。車が1台ありますが人の気配は感じられません」

敷地内は草が生い茂り、ネットはぼろぼろ。卵を売る自動販売機も放置されたままです。

養鶏業を営んでいた小矢部市の「床鍋養鶏」、去年11月に倒産しました。飼育されていたニワトリはどうなったのでしょうか。山の中にある養鶏場を訪ねようとすると…。
記者:「関係者以外の方の立入を固く禁じますという看板が出ています」

そこへ、養鶏場の方に向かう1台のトラックが…。
近所の人に倒産した会社について聞くと…。
近所の人は:「なんかまだ、餌持ってきて養鶏場のほうに餌を運んでいるから。名古屋かどっかの会社かな。そこが何かいまやっているみたい」

床鍋養鶏は、名古屋市の企業に事業が引き継がれていました。床鍋養鶏の元幹部に話を聞くことができました。

倒産した床鍋養鶏の元幹部:「鶏卵生産コストの7割を占めるエサ代が1.5倍に膨らんだ。世間は卵が安いと思い込んでいて価格転嫁ができない。当時は卵を売れば売るほど赤字だった。物価高倒産です」


原材料高に値上げが追いつかない物価高倒産が急増しています。
帝国データバンクによりますと、物価高倒産は2021年度の136件から急増し、2022年度は3.4倍の463件に上りました。10か月連続で最多を更新し、今年4月には75件と過去最多となったのです。

富山県の物価高倒産には特徴がありました。