“エッグショック”の中広がる物価高倒産
帝国データバンク富山支店 西浦康支店長:「昨年は特に養鶏業の倒産が多かったんですね。富山県の集計では9件物価高倒産がこれまでにあったんですけど、このうち5件が養鶏業の倒産でして、これは飼料の高騰。これにまぁ尽きると」



飼料高騰に鳥インフルエンザが追い打ちをかけた卵不足。いわゆる“エッグショック”が広がる中、県内で養鶏業者が相次いで倒産しているのです。

「森のたまご」のブランド名で知られる鶏卵大手・イセ食品のグループ会社を含む5社が倒産に追い込まれました。

帝国データバンク富山支店 西浦康支店長:「スーパー等で売られている卵の価格見ても、かなり今までにないぐらい上がっていますよね。値上げによっていまは(養鶏業者は)落ち着いている。ただ、飼料は相変わらずやっぱり高いと聞いていますので、安心はできない」


飼料の価格は2020年の秋から上がり続け、1トンあたりおよそ6万5000円ほどだったところ、ことし3月時点でおよそ10万円にまで上昇。2年半で1.5倍近くになりました。その理由は…。


日本飼料工業会 高橋洋氏:「国際的な穀物相場。特にトウモロコシですね、これが急速に上がった。日本の場合は特にアメリカからトウモロコシをはじめ原料輸入しているんですが、その海運コスト、これも大幅にあがったということと円安ですね。当然、円が安くなれば輸入コストが上がります」

飼料高騰に最中に起きたのが去年10月に発生した鳥インフルエンザ。これまで全国で処分されたニワトリなどは過去最多となる1770万羽を超え、卵の価格は1キロあたり200円半ばだったのが今年は300円半ばとなっています。

しかし、これでも飼料価格の高騰には追いついていないのが現状です。しわ寄せは価格転嫁ができない養鶏業者に…。


県養鶏協会会長の島哲哉さんは。
富山県養鶏協会 島哲哉会長:「昨年、特に7月エサが高くなってその支払いが9月ぐらいにあったんですけど、やはり、そこが一番つらかったですね」


去年7月、卵1キロを200円ほどで販売していましたが、エサ代も200円ほどかかり、電気代や人件費で赤字だったといいます。

島さんの会社は飼育する7万羽の一部を食肉用として出荷。ニワトリの数を減らしてエサ代を抑える対策をとって、なんとか乗り切ったそうです。
