新井製作所も自社の発電所を作り、ほぼ完成しているものの、予定より稼働が遅れています。

建設や水の利用に伴う許認可など、行政官庁に向けた手続きの多さが理由で、運転開始は11月ごろになる見通しです。

新井製作所 新井達也社長:
「これから皆さんにもっと小水力発電を知ってもらい、すぐ近くに水資源がある暮らしを提供できるよう努力していきたい」

■市民も出資 再生可能エネの“先進地”で実現した小水力

そして、飯田市上郷(かみさと)でも、9月、新しい小水力発電所が動き出しました。野底川小水力発電所です。

おひさま進歩エネルギー 菅沼利和社長:
「これが川の水を水路に取り入れるところです」

実はこの発電所、市民の力によって作られたものなんです。

野底川小水力発電所は、県の砂防ダムに取水口を設け、およそ1キロ先の施設に水を送っています。

事業の中心となっている「おひさま進歩エネルギー」は、20年ほど前に設立され、市民の出資をもとに、太陽光発電を中心に自然エネルギーの普及を進めてきました。

野底川での調査を始めて5年あまり、ようやく実現した小水力発電への参入です。

おひさま進歩エネルギー 菅沼利和社長:
「太陽光ですと、どこの場所に年間どのくらいの日射量があるかのデータが出されていますが、川は実際に川の水を測ってみてどのくらい流れているか調査しないとわからないので、最低1年間はデータをとって、10年分を推測し、事業ができるかどうかを判断します」

総事業費5億8000万円のうち1億5000万円は、事業に賛同した市民など県内外の166人が出資。

手続きの多さや多額の初期費用というハードルはあるものの、運用期間の長さは小水力発電の強みだといいます。

おひさま進歩エネルギー 菅沼利和社長:
「小水力発電所は土木工事が必要だが、1回造れば、途中で発電機を更新したとしても100年は続けることができるだろうというのが魅力。太陽光はそこまでは(装置が)もたないので、いったん全部取り換える必要がでてきます」

発電量は一般家庭700世帯分を想定していて、売電による収益の一部はふもとの森林公園の整備にも充てられる予定です。

おひさま進歩エネルギー 菅沼利和社長:
「水の力は量と落差によるところが大きい。長野県は急峻な土地なので、これからたくさん(小水力発電が)できるのではと思っています。川は地域のいろいろな人が恩恵を受けているものなので、『水を使わせていただく』という気持ちで、地域の人と一緒にやっていくのが大事だと思う」