「緑肥(りょくひ)」という言葉をご存じでしょうか?

「緑(みどり)」の「肥し(こやし)」と書くように、田んぼや畑で育てた植物をそのまま肥料として使うことです。

この「緑肥」を使った取り組みが、さまざまな現場で始まっています。


松本市の北部にある畑。

去年秋にまいた麦が、1メートルほどの背丈になりました。

ただ、この麦は、収穫するために栽培されたわけではありません。

■かまくらや 金子直樹さん
「これからこの麦を裁断して細かくして土にすき込みやすくします」


「農業生産法人 かまくらや」ではソバ茶に使う「ダッタンソバ」を栽培する畑で麦を育て、それを機械で細かく切断し畑に放置します。

ソバ畑に麦を植えた目的は、畑の肥料として使う「緑肥」にするためです。

■かまくらや 長岩佑弥さん
「緑肥は土がゴテゴテしてしまっているところを、簡単にいえばサラサラにするところを目的に始めた 生食用の高い種ではなく安い麦の種をまいているので緑肥としてすき込むだけを目的にやっている」

そして、8日後。


(かまくらや 金子さん)「細かくなった麦が乾燥して枯れたようになっています」

裁断して乾燥させた麦を土に混ぜて耕していきます。

「すき込み」という作業です。


麦をすき込むと、畑に多くの有機物が供給され、土壌改良の効果があるといわれています。

「かまくらや」では、ソバの栽培に適したサラサラの土に近づけようと、おととし(2021年)から、麦を緑肥として使い、土づくりを続けています。

土壌改良の効果はまだ実感できませんが、思わぬメリットがありました。

■かまくらや・長岩さん「雑草の抑制の効果が出てきた。麦があると、4、5月と畑が日陰になるので、雑草が出づらい環境ができた。農業の一番の肝は雑草対策で、かつ労力がかかる。雑草対策の省力化ではすごくいいかなと思う」