■ 物価値上げの波?それとも適正価格に戻った?

もし毎月の固定費が突然7倍に増額されたらどう感じますか?
熊本市では今、学校の警備費用が急激に高騰、その理由を取材しました。


子どもたちが下校した後の小学校。そして先生たちも帰った後、学校を守るのが民間の警備員です。

春日小学校 首藤英紀 教頭
「(下校時に)鍵をしますけど、例えばガラスを割る、するとここがセンサーで(異常を)感知するので、そこで警備会社に連絡がいく。みんながいない時間ではあるけれど学校を守ってくれている」


その子どもたちの安全を守る警備業界に異変が起きています。

公明党 吉田健一 熊本市議
「いきなり10万円が100万円になるなど乱高下。市民の感覚はなぜ?という疑問と
腑に落ちないものでしかありません」


9月12日、熊本市議会で指摘されたのは小中学校の警備にかかる費用の高騰。
1校当たり年間14万3000円から105万6000円と、実に7倍以上になったケースもあるといいます。仕事内容は変わらないのですが…

遠藤洋路 熊本市教育長
「巡回経費 1校 1回あたりの金額に換算すると、前回592円で 今回1592円となる。前回の契約金額1時間当たり 592円ではおそらく赤字だったのではないかと認識」

それにしても費用7倍は急騰すぎませんか?


後生川アナウンサー
​「警備費の高騰は警備員の人件費の高騰からきているのか、ハローワークに聞いてみます」



警備員の給与は、警備内容にもよりますが、大まかに日給で8000円前後、時給で1000円前後とのこと。

ハローワーク熊本  石原勝幸 職業相談部長
「警備員さんの賃金の相場というのはそんなに変わっていないので、(学校の警備費に関して)どの部分が上がったかというのは何とも言えないところ」


一体何が起きているのか?県内の警備会社が加盟する団体を直撃すると。

熊本県警備業協会 西橋一裕 専務理事
「警備会社はそれだけ利益をあげているのではないかという表面上は見方ができるんですね。ところが、実際にどうなのかというと、あの会社(学校を担当した警備会社)は相当な赤字を出しているはずです」


熊本市の学校警備は競争入札で委託先が決まりますが「最低入札価格」が設定されておらず、極端な低価格競争が散見されていたと話します。そのため適切な価格を設定できるように全国警備業協会が2018年に自主行動計画を策定しました。

熊本県警備業協会 西橋 一裕 専務理事
「適正価格に熊本市が目を向けてくれたという風に私は評価をしています」

費用高騰で見えてきた警備契約の問題。税金をより効率的に使い、かつ事業者や労働者へのしわ寄せがない発注。市職員の手腕に委ねられています。