裁判所「理事長の指示や言動に疑問を差し挟めない環境に置かれていた」篠原被告が置かれていた当時の環境も考慮

ハリウッドワールド美容専門学校(福岡・柳川市)

一方で、裁判所は篠原被告に有利な事情として複数の要因を挙げた。

当時の篠原被告について「専門学校の通信制の学生でありながら、教員助手として勤務もしていたが、理事長の指示や言動に疑問を差し挟めない環境に置かれていた」と指摘。

さらに「本件バーベキューの数日前には、遅刻を原因として、理事長から退職届を書かされるなどの行き過ぎた指導を受けていた」として、被告人が置かれていた状況の特殊性を認定した。

また「担当するコンロの火勢が弱いために食事の終了が遅れると、理事長から叱責されるのではないかと恐れたのも一定程度理解し得る」とし、被告人の心理状態についても理解を示した。

特に重要な要因として
「本件バーベキューにおいては、火起こしの際に限定されていたとはいえ、理事長の発案及び指示のもと、火の着火前後で現にアルコールが使用され、周囲の人間は誰もこれを制止していなかった」
ことを挙げ、
「被告人が、当時、冷静な判断をすることが難しい状況に陥っていたことは否めず、俯瞰的に本件行為に至った経緯を考えると、被告人のみに責任があったとはいえない」
と判断した。