酒により人格が変わったわけではない

裁判所が主に注目したのは2点。

一つ目は、事件以前にも親族に暴行していたことだ。
酒により人格が変わって、行われた暴行ではないと判断した。

判決・事実認定の補足説明
「前述の動機に、酩酊による短慮が加わって引き起こされ、
 短慮かつ第三者が入らない状況であったために
 被告人の暴行が継続し激化したにすぎない。
 今回の事件の暴行が被告人の平素の人格とは異なる行動とは評価されない」

ズボンが膝下まで下げられていたのは「性犯罪を装った」

二つ目は、発見時の美智恵さんの状況だ。

路上に放置された美智恵さんのズボンは膝下まで下げられており、さらに下着のパンツも太もものあたりまで下げられていた。
裁判所はここに注目した。

なぜ美智恵さんの衣服や下着は下げられていたのか。

弁護人の主張
「廣瀬被告が性的衝動に駆られてズボンとパンツを脱がせて放置した。
 実の妹に対する行為としては著しく不合理であり、
 広瀬被告の責任能力が著しく減退していたことが疑われる」

しかし裁判所はこれを一蹴した。

判決・事実認定の補足説明
「元妻によれば、
 酒に酔った被告人の性欲が特に高まったことはないというのであり、
 広瀬被告が性的衝動から
 ズボンやパンツを脱がせる行為に及んだとは考えがたく、
 かえって、酩酊による短絡的な考えから、ずさんながらも性犯罪を装い、
 その場しのぎではあるが捜査をかく乱させようとしたものとみることができる」