■先輩に着信残すも、バスに乗らなかった?


行方不明になった当日の午後6時すぎ、千尋さんは車を降りた「地毛バス」停から、長野県に住む大学の先輩に電話をかけていたことが分かっています。千尋さんが慕う女性ですが、着信があった際は電話に出られず、午後6時半ごろに先輩から千尋さんに電話をかけ直しています。しかし、応答はありませんでした。

先輩に電話をかけた後の千尋さんの消息は分かっていません。ただ、その日の朝に使ったバスのICカードは帰宅時には使われておらず、バスに乗った記録はありませんでした。

千尋さんの当日の所持金は2000円ほど。その後比呂子さんが調べたところ、千尋さんの銀行口座からは出金もなかったということです。

「行方不明になった日、千尋は体調が悪く、気持ちも不安定だったと思います。帰りが遅くても、『1人の時間が欲しいのだろう』と思っていました。何事もなかったように家に迎え入れてあげたかった」

千尋さんを待ち続け、一睡もできないまま2日が経った6月9日、比呂子さんは最寄りの交番に、千尋さんの行方不明届を提出しました。

■限られた目撃証言


届出が受理されると、警察による捜索が始まりました。

(以下、比呂子さんのノートに記載されている内容などを参考にしています)

警察の調べで、9日の朝と夕方に、どちらも佐伯区内で千尋さんが持っていた携帯電話の電波が感知されていたことが分かりました。電波を捉えた場所を探しましたが、正確な携帯電話の位置までは特定できず、その後、電波は途絶えてしまっています。

同じく9日の朝7時ごろ、千尋さんによく似た女性を見たという目撃情報も寄せられています。女性は五日市駅南口のバス乗り場付近のベンチに、ぐったりとした様子で座っていたということでした。

翌日10日、さらに24日には、区のボランティアセンターでも千尋さんに似た女性が目撃されています。女性は杖をついていて、顔を隠すような仕草をみせていたということですが、この女性が千尋さんだったかどうかについては分かっていません。そしてこれ以降、千尋さんの行方について有力な手がかりは見つかっていないままです。