横山雄二 アナウンサー
でもさ、入ったとき、黄金期だったでしょ、広島カープって。

元広島カープ監督 緒方孝市 さん
黄金期からちょうど選手が変わる時期に接したと思う。だから野村さん然り、江藤(智)然り、前田(智徳)然り。高校を卒業して、野村さんは大学(卒)だけど、1年目・2年目から1軍でどんどん鍛えて育てるっていう、あれが始まった時期だったからね。

横山雄二 アナ
だって、入ったとき、ドラフト3位で学生服で記者会見。髪の毛が、なんか捕まった宇宙人みたいな…

緒方孝市 さん
RCCだけだからね、その映像をいまだに出すのは。高校生のときの…。あのときは、はやっていたの!

横山雄二 アナ
上に茶碗とかのせられるよね、髪がまっすぐ。

緒方孝市 さん
そのときは、『ビー・バップ・ハイスクール』の時代じゃん。

横山雄二 アナ
仲村トオル気取り。

緒方孝市 さん
それまで髪の毛なんか一切、伸ばしたことないわけ。中学に入ってからずっと丸刈りの生活じゃん。それがやっと高校卒業して、やっと髪を伸ばせるっていう唯一の時期だった。一番は卒業写真。あれにかっこよく写りたかった、アルバムに。

桑原しおり アナウンサー
かわいいじゃないですか。

緒方孝市 さん
あれって写真部がだいたい修学旅行の写真をメインに使うから、時期的には9月か10月ぐらいの写真だったので、そのころって、まだ8月の大会が終わって間もないころだから髪も伸びていない。だから自分だけ、11月ころぐらいの写真をわざわざ写真部に持っていって「これに変えて」って。唯一、野球部でおれだけ長髪(笑)

横山雄二 アナ
あの選手が…、なかなか思うようにいかなかったけど、ある監督との出会いでこうやって導かれて。足が速いことはもちろんわかっていた。けど、例えばゴールデングラブ賞を5年取っていたりとか、盗塁王を3年連続で取ったりとか、驚いたのはホームランを打てるようになったっていう。あれはなんで?

緒方孝市 さん
だから結局、三村さんとの出会いがもちろん一番大きいけど、その三村さんを支えているコーチングスタッフ、例えばヘッドコーチであれば 山本一義 さんであり、守備コーチであれば高代(延博)さんとか阿部(慶二)さんとか、やっぱり監督の考えを一本化した中で教えをちゃんと方向がずれずに選手たちを指導してくれたわけ。三村さんは、例えば「バッターとしてこういうふうに育てたい。でも守備と走る方はやっぱり一番の武器になるから、そこは絶対どんどん伸ばしていけ」っていうような感じで守備コーチとか打撃コーチとかいろんなコーチにきちんとそういうことを伝えて、選手を、自分だけじゃなくて金本(知憲)然り、町田(公二郎)然り、浅井(樹)然り、そういった選手1人ひとりに対しての指導法をきちんとやっていたね。みんなで見てくれていた。だから三村さんからちゃんと下に伝わって、やってもらっていた。

桑原しおり アナ
そういうのって、若いころって気づきにくい…

緒方孝市 さん
気づかない。後から全部聞かされることで。

横山雄二 アナ
だってさ、ある意味、金本選手もそうだったけど、高校生から来たりとか、大学生とか、金本さんは特にそうだったけど、本当にやせていた。

緒方孝市 さん
みんな、そう。

横山雄二 アナ
お尻もちっちゃいし、それがプロになって、ものすごくウエイト(トレーニング)とかもやったり、走り込んだりとかして体もできてきて、そこから…。だって、一時期、緒方孝市は36本打つのよ。ホームラン王を取るんじゃないかっていうときがあったのよ。

緒方孝市 さん
実はそれまでずっと打撃は、山本一義さんに教えてもらっていたんですけど、ついに「今のままじゃ打てん」といって三村監督自ら秋季キャンプの11月の練習の1か月間、ずっとマンツーマンで指導してもらって。ちょっと一義さんとは気まずくなったんだけど…

横山雄二 アナ
一義さんは、とにかく「軸をぶらすな」と…

緒方孝市 さん
いや、もっと違うことをちゃんと教えていただいたけど。いや、でも本当に三村さんが、そこで手取り足取り、「お前は今の打ち方ではダメだ。極端に構えから変えて、ための取り方から全て変えろ」って。思い切って打撃改造をさせられたわけ。それが結局、花開いて、36本ホームランを打ったし、翌年も30本ホームランを打ったし。うん。あれは本当に打撃改造で大きく自分の中で三村さんには感謝している。一義さんとはちょっと変な空気になってしまったけど…

横山雄二 アナ
やっぱり伸ばすかどうかっていうこと。コーチとか監督の難しさは、日本のトップの人と仕事しているのに、教えようとするじゃない。やっぱりわかんないときに聞きにいける人っていうのが、一番いいんだろうな。

緒方孝市 さん
基本はね。コーチの存在もものすごく必要なんやけど、やっぱり選手次第なんよ。選手がその気になって自分の中でやっていかないと変わらない、絶対。教えるだけじゃ、「はい、はい」と言っていただけじゃ変わらない、選手は。結局、一流になる選手ってのは、自分が勝手にうまくなっていっているの。だからコーチとか監督とかはその環境をしっかり整えてやればいい。

横山雄二 アナ
おれさ、本当になんか20代そこそこぐらいのときから遊んでいて、流川を(緒方さんが)ものすごい勢いで走っていた。「メグ! 何してんの?」って言ったら、「レンタルビデオを返しに」って、ものすごい俊足で。流川をレンタルビデオを持って盗塁王(笑)

緒方孝市 さん
それが言いたかったの? “夜の盗塁王” 。

横山雄二 アナ
結婚するときも、つきあい始めたよっていうときをちょろっと教えてくれたので。

緒方孝市 さん
そうだっけ。

横山雄二 アナ
「ちょっと全然、言えないんだけど、まあまあのすごい彼女ができた」って。「教えてよ」って言ったら、「いや、言ったら絶対漏れるから言わない」と。

緒方孝市 さん
そこは信用してなかったんだ。